サムスン電子、東芝と相次いで連携したGLOBALFOUNDRIESの狙い:バイスプレジデントが会見(2/2 ページ)
GLOBALFOUNDRIESは、東京都内で開催した記者説明会で、今後のプロセス技術の動向や、14nmFinFETプロセス技術を適用したICチップ製造でサムスン電子と提携合意した狙いなどについて語った。また、東芝とワールドワイドASICパートナー契約を結んだことも発表した。
東芝とのパートナー契約
東芝とのパートナー契約は、日本市場における活動成果の1つとみている。両社は2014年3月に、GLOBALFOUNDRIESが東芝に対してウェハーを供給する契約を結んだ。今回はASICパートナーとしての協業となる。東芝は、GLOBALFOUNDRIESが保有する65nmと40nmの低電力プロセスを使って、FFSA(Fit Fast Structured Array)を開発・量産する。その後は28nm品の開発も行っていく予定である。
Kengeri氏は会見の中で、EUV(極端紫外線)露光技術に関する取り組みについても語った。「テクノロジのスケーリングにおいて、EUV露光技術は重要であるが、本格的な実用化に向けて技術の完成度は十分とはいえない。毎時175枚のスループットまで処理性能を引き上げることが、ダブルパターンニング技術と置き換える条件だ」と話す。また、「機能あたりのコストを抑えていくには、共同開発による技術革新が重要である」と続けた。
ムーアの法則に沿ったトレンドに「戻して行く」
28nmプロセス技術までは、ムーアの法則に沿って微細技術の開発が進められてきたという。しかし、20nmプロセス技術以降は、機能あたりのコストが上昇した。このためGLOBALFOUNDRIESは、14nmFinFETプロセス技術を用いることで、機能あたりのコスト上昇を抑えることとした。「半導体プロセスが10nm以降になると、回路設計や微細加工技術だけでは対応できない。パッケージ技術やTSV(貫通シリコンビア)技術なども駆使して、ムーアの法則に沿ったトレンドに戻して行く必要がある」(Kengeri氏)と述べた。
この他、直径450mmのウェハー導入に関する質問に対してKengeri氏は、「現行の直径300mmウェハーに比べて、材料コストでは22〜25%のアドバンテージはあるが、450mmウェハーの標準化と、製造装置の導入コストに課題がある」と述べた。これらの新技術の導入に当っては、「450mmウェハーは経済的に、EUV露光装置は技術的に、それぞれさらなるチャレンジが必要」と重ねて語った。
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