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ルネサスの社員は真面目から本気に、経営陣は本気から“狂気”になって改革に取り組むルネサスCEO 作田氏が事業方針を説明

ルネサス エレクトロニクスは2013年度(2014年3月期)業績の発表に伴う会見を開催し、今後の事業構造改革に関して説明を行った。

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 ルネサス エレクトロニクスは2014年5月9日、2013年度(2014年3月期)業績の発表に伴う会見を開催し、2013年秋に公表した「変革プラン」(関連記事:ルネサスが変革プランを発表――2017年3月期営業利益率10%以上を目指す)などに基づく今後の事業構造改革方針を説明した。

 2013年度業績は、売上高8330億円と前年比6%増の増収を達成し、構造改革による固定費削減と為替による利益改善が大きく寄与し、営業利益676億円と過去最高を更新した(関連記事:ルネサス、発足初年度以来の営業黒字を達成)。通年での営業黒字は発足初年度である2010年度以来。最終損益は、構造改革費用(540億円)など720億円の特別損失を計上した影響で53億円の赤字となったものの、前年の1675億円から大きく改善している。下期(2013年10月〜2014年3月)単独では最終黒字を達成するなど、業績回復傾向が鮮明になっている。

2013年度の業績概要(左)と過去2年間の四半期業績推移 (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

 2014年度の業績見通しは、第1四半期の業績予想の開示にとどめ、通年の業績予想は公表しなかった。ただ、2014年度の事業環境について会長兼CEOの作田久男氏は、「自動車は堅調で、ADAS(先進運転支援システム)やカーインフォテインメント向けの案件が増加している。産業機器向けに関しても、もともと安定した市場であり、ネガティブなことはない。全般的に事業環境は良い」との見通しを示した。第1四半期業績見通しは、売上高2020億円(前年同期比1.5%増)、営業利益200億円(同104.5%増)。最終損益も「この四半期は大きな事業構造改革費用は見込んでおらず」(常務兼CFOの柴田英利氏)140億円の利益(前年同期は40億円の損失)となる見通しだ。

2014年度第1四半期の業績予想の概要(左)と用途別売上高見込み (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

 「変革プラン」などを掲げ取り組む構造改革の進み具合について作田氏は、「(2013年度を終えた時点で)4合目に来ている」とした。2013年度は、懸案だった山形鶴岡工場の譲渡を実施する(関連記事:ルネサス、ソニーへの鶴岡工場譲渡完了を発表)など生産部門再編を中心に改革が進み、「生産部門の機能統合は(予定に対し)オンラインで進めることができた」と評価した。

2013年度および2014年度第1四半期実施の構造改革策(左)と利益成長に向けた課題についての説明資料 (クリックで拡大) 出典:ルネサス エレクトロニクス

 2014年度の事業改革の実施方針について作田氏は、以前から表明している設計部門の再編を中心に進める方針を示し「2014年度を終えた時点で、構造改革全体の6〜7合目まで進むだろう」とした。具体的な再編策については「2014年度中に決めて、実行する」と話すにとどめた。

 「譲渡も含めたさまざまな検討を行っている」(ルネサス)という中小型液晶ドライバ事業を行う子会社 ルネサスエスピードライバ(関連記事:ルネサスが“優等生・中小型液晶ドライバ事業”の「譲渡検討」を表明)についても作田氏は、「個別に申し上げることはない」と言明を避けた。

 「変革プラン」については公表時点と内容を変えず、作田氏は同プランの目標である「2016年度に10%以上の営業利益率達成」に向けて全力を尽くしていく姿勢をあらためて強調。「グローバル競争に参加するには、営業利益率2桁は絶対に必要。2桁でない時点で、顧客の(サプライヤ選定の)セレクションで外れてしまう」と作田氏は目標達成の重要性を訴えた。さらに作田氏は、「ルネサスの社員は、私の目から見ると優秀で真面目だ。でも今求められているものは真面目ではなく“本気”だ。真面目で済むことではなく“本気”にならなければならない。そして、私など経営者は“本気”から“狂気”にならないと。今のルネサスはそれぐらいのことで行かないと改善ができないと肝に銘じており、社員にも真面目を超えて“本気”で仕事をしようと要請している」と構造改革に対する強い決意を示した。

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