三菱電機、2020年度売上高5兆円/営業利益率8%以上の新経営目標を発表:8つの“強い事業”で持続的成長狙う
三菱電機は2014年5月19日、都内で経営戦略説明会を開催し、「パワーデバイス」「空調システム」「電力システム」などの8事業を強化し、2020年度(2021年3月期)までに売上高5兆円、営業利益率8%以上の達成を目指す新経営目標を打ち出した。
三菱電機は2014年5月19日、都内で経営戦略説明会を開催し、創立100周年を迎える2020年度(2021年3月期)までに売上高5兆円、営業利益率8%以上の達成を掲げる新しい経営目標を明らかにした。
三菱電機にとって2014年度は、新しいスタートの年といえる。「売上高4兆円回帰」「営業利益率5%以上」などこれまで掲げてきた経営目標を2013年度に達成。そして、目標達成に向けて社長として陣頭指揮を取ってきた山西健一郎氏が2014年4月1日付で会長に退き、副社長の柵山正樹氏が社長に就任した。
経営戦略説明会で柵山氏は、「2001年から掲げる(経営方針である)“バランス経営”を継続し、“持続的成長”をさらに追求する」とこれまでの経営方針を踏襲しながら「もう一段、高いレベルの成長を遂げる」とし、柵山新体制の下で目指す新たな経営目標として「2020年度までに売上高5兆円、営業利益率8%以上の達成」を打ち出した。
新たな経営目標の達成に向けた施策としては、主に「強い事業をより強く」「新たな強い事業の継続的創出」「強い事業を核としたソリューション事業の強化」の3つを打ち出した。成長を引っ張る役割を果たす「強い事業」としては、「電力システム」「交通システム」「ビルシステム」「FAシステム」「自動車機器」「宇宙システム」「パワーデバイス」「空調システム」の8事業を挙げた。
売上高5兆円達成時の売り上げ構成について柵山氏は、「重電システム、産業メカトロニクス、情報通信システム、電子デバイス、家庭電器の5セグメントいずれにも成長事業(=強い事業)があって、いずれも成長するため、現状と大きく変わらない」との見通しを示した。また新しい事業の立ち上げなどについては、「現状の成長戦略で、経営目標の達成に不足があるのかどうか、不足があればどのように補うかを半年程度かけて検討していく」と説明。また、事業買収などのM&A策については、「三菱電機の中身を良くするM&Aは実施するが、売り上げ増を狙うためだけのM&Aは実施しない」とした。
新たな経営目標に向けたスタート年である2014年度については、家電分野で消費増税の影響を見込むものの、全社レベルでは売上高4兆1800億円、営業利益2500億円と前年比増収増益を計画。売上高に関しては2000年度に記録した過去最高の4兆1294億円を上回る。営業利益は過去最高だった2007年度の2640億円には及ばないものの、為替想定レート1米ドル=95円での計画であるため、為替レート次第では利益面でも過去最高が十分に見込まれる。
2000年度、2007年度と売上高4兆円を達成した翌年は、ITバブル崩壊やリーマンショック発生などでいずれも売上高4兆円を割り込んだという嫌なジンクスがあるが、柵山氏は、「今、打っている手で、2015年度売上高4兆4000億円まではみえている」とし、高い業績レベルでの持続的成長に自信を示した。
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