HSAに対応し「Haswellより40%超上回る性能」:AMDが第2世代「Rシリーズ」発表
AMDは、組み込み機器向けAPU/CPUファミリ「AMD Rシリーズ」の第2世代製品(開発コードネーム:Bald Eagle)を発表した。Bald EagleはHSA(Heterogeneous System Architecture)機能を初めて搭載した製品で、28nmプロセス技術で製造する。「競合製品に比べて、3Dグラフィックス性能は最大44%向上し、コンピューティング性能は最大46%上回る」と主張する。
AMDは2014年5月、組み込み機器向けAPU/CPUファミリ「AMD Rシリーズ」の第2世代製品(開発コードネーム:Bald Eagle)を発表した。Bald EagleはHSA(Heterogeneous System Architecture)機能を初めて搭載した製品で、28nmプロセス技術で製造する。「競合製品に比べて、3Dグラフィックス性能は最大44%向上し、コンピューティング性能は最大46%上回る」と主張する。ゲーム機器や医療用機器、デジタルサイネージ、産業用機器/自動制御装置、通信ネットワーク機器などの用途に向ける。
初めてHSAに対応
組み込み機器向けAPU/CPUファミリの中で、ハイエンド製品と位置付けるBald Eagleは、AMDの最新CPUアーキテクチャ(開発コードネーム:Steamroller)や、グラフィックスコアネクスト(GCN)アーキテクチャのGPUをベースとした製品。今回は、4個のCPUコアと8個のGPUコアを搭載した「RX-427BB」を始め「RX-425BB」、「RX-225FB」と3種類のAPU製品と、4個のCPUコアのみでGPUコアを搭載していない「RX-427NB」および2CPUコアの「RX-219NB」と、2種類のCPU製品を用意した。
CPUコアの動作周波数は最大ブースト時で2.2〜3.6GHz、GPUの動作周波数は最大ブースト時で533〜686MHzである。また、異なるプロセッサを統合するフレームワークであるHSA機能や、CPUとGPUのメモリ空間を共有するhUMA(heterogeneous Uniform Memory Access)機能を搭載したことで、並列処理などの演算性能を向上させた。
AMDによれば、3Dグラフィック性能ではインテル製「Haswell Core-i CPU」に比べて最大44%、AMD従来品と比べて最大64%それぞれ向上。さらに、コンピュータ性能はインテル製を46%上回り、同社従来品の66%も向上したという。
組み込み機器に向けた製品仕様にもなっている。耐用年数は10年間とし、ECCデュアルチャネルメモリやDDR3-2133などもサポートした。さらに、組み込みLinuxなどに関してメンターグラフィックスと提携するなど、パートナーとの連携を強化して、ソフトウェア開発環境の拡充を図った。OSとしてはLinuxの他、WindowsやリアルタイムOSに対応している。
「売り上げの半分を組み込み市場で創出していく」
AMDの組み込み製品事業について、組み込み製品ディレクタを務めるKamal Khouri氏は、「将来はAMDの売上高の半分を組み込み市場で創出していく」と話す。調査会社によれば、ターゲットとする組み込み機器の市場規模は、2017年までに91億米ドルとなり、機器の台数は2億3200万台に達するという。Khouri氏は、「これら機器の83%をx86とARMのCPUアーキテクチャが占めることになろう」との見通しも紹介した。
パチンコ/パチスロ市場へも展開へ
さらにKhouri氏は、注力する組み込み市場の中で、特にAMDがフォーカスする領域として6分野を挙げた。パチンコやパチスロなどを含む「ゲーム機器」、「デジタルサイネージ」、可搬型を含む「メディカルイメージング」、「産業機器/自動制御装置」、「シンクライアント」、および「通信ネットワーク向けインフラ装置」である。
これらの用途に向けてAMDは、表示の精度や信頼性、安全性の高いAPU製品を供給していくと同時に、ソフトウェア/システムサポートの体制も強化することで、競合他社との差異化を図っていく予定である。
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