「数字」に落とせば見えてくる!? 時事問題をエンジニア的視点で読み解く:世界を「数字」で回してみよう(1)(1/4 ページ)
既婚と未婚はどちらがシアワセ? 領土問題の本質って? この世にごまんとあふれる、“分かるようで分からない問題”。そうした疑問も「数字」でみれば、問題の本質が分かるかもしれません。いったん数字に落とし込めば、エンジニアのフィールドに持ち込んで分析できます。気になる問題を数字で読み解く新連載、スタートします。
私たちが、対人関係でトラブルを起こした場合、信頼に基づく話し合い、あるいは宗教や正義などの概念、または理論(ロジック)を持ち出して解決を試みます。それでも解決できない場合は、「暴力」という最終手段で紛争を解決してきました。
歴史上、「暴力」は素晴らしい成果を発揮してきました。全ての相手に何も言わせなくする(最終的には死に至らしめる)ことで、問題をキレイに解決してきました。とても単純で簡単な方法です。実際、今でも、決裂した外交の最後の解決手段は「戦争(正確には「紛争」)」です。国際条約が紛争のきまりを規定しているくらいです。
まあ、ここまで大げさに考えなくても、私たちの日常生活の中にもトラブルはたくさんあります。モノの考え方は人間の数だけあると言ってもよく、そして、その大部分は解決できないものです。なぜ解決できないかといえば、正解がないからです。
- 結婚と独身、どちらが幸せか?
- 仕事は、早く沢山こなすべきか? 少なくても丁寧に行うべきか?
- ラーメンにはギョーザセットかチャーハンセットか?
こういうテーゼは例外なく不毛な議論で終わり、人間関係をこじらせます。なぜなら、誰もが最初に「自分の答え」を持っていて、その後に、その答えを「正当化する理由を探す」からです。
「結婚と独身、どちらが幸せか?」を数字にできないか
インターネットの創成期にエンジニアとして就職し、実際にインターネットの研究開発の一端に関わった私は、―― 世界的規模の議論ができるようになれば、世界中の多くの知性が結集して、平和的で論理的な社会合意形成ができるようになる ―― という、ある種のユートピアを夢見ていました。
そして、今や、誰もが等しく意見を言うことが可能となったネットの世界において、何が起こっているかは、皆さんご存じの通りです。
それは、『セキュリティやプライバシーが脅かされ、匿名の利益を乱用した理性的でない暴論がまかり通る世界』です。私は、こんな世界が作りたくて、通信技術の研究開発をがんばってきたわけではありません。
私は、一度、意を決してツイッターなるメディアを始めてみたことがあるのですが、今ではもうほとんど使っていません(関連記事:Twitter大嫌いな研究員が、覚悟を決めた日)。「ネットは何かの問題を解決する手段にはなりえない」「他人任せで自然に正解が出てくるほど、世の中甘くはない」ということが、骨身にしみて分かったからです。
なるほど、ネットは駄目なのかもしれない。では、あるテーゼに対して、問題を解決するもっといい方法はないものだろうか?
もちろん、自分と対立する側の人間を、一人残らず虐殺するという方法は論外です。「愛」や「信頼」で解決できるものであれば、そもそも「問題」にもなっていないだろうし、仮に「論理(ロジック)」を使ってみても、対立する双方がその「論理(ロジック)」を理解できなければ、解決への第一歩にすらなりません。
そういう閉塞(へいそく)感でモンモンとしていたある日のこと、私の中で、そのような高尚なテーゼとは全く関係なく、突飛な考えが思い浮びました。
―― 「結婚と独身、どちらが幸せか?」を、「数字」にできないかな?
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