「眼鏡と変わりない装着感」の網膜走査型スマートメガネ:網膜に映像を投影!
QDレーザと東京大学ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構は共同で、レーザー網膜走査型ディスプレイのウェアラブル情報端末「レーザアイウェア」の基盤技術開発に成功したと発表した。両者は、「装着感、外観ともに通常の眼鏡と違和感の無い新タイプの眼鏡型情報端末の製品化へメドを付けた」とし2015年内に製品化する方針。
QDレーザと東京大学ナノ量子情報エレクトロニクス研究機構は共同で、レーザー網膜走査型ディスプレイのウェアラブル情報端末「レーザアイウェア」の基盤技術開発に成功したと発表した。両者は、「装着感、外観ともに通常の眼鏡と違和感の無い新タイプの眼鏡型情報端末の製品化へメドを付けた」とし、2015年中に有線通信タイプの作業支援用アイウェアを、2017年中に無線通信対応で一般消費者向けアイウェアを製品化する方針だ。
ヘッドマウントディスプレイやスマートメガネなどのウェアラブル情報端末の情報表示は液晶ディスプレイなどを利用する技術が一般的だ。これに対し、QDレーザと東大では、レーザー網膜走査型ディスプレイによるウェアラブル情報端末の開発を進めてきた。
レーザー網膜走査型ディスプレイは液晶ディスプレイなどの技術に比べ、高輝度、高色再現性、広視野角で網膜上に画像を自在なサイズ、位置に描画することが可能。原理的に水平視野角は60°程度まで広げられるとし、完全なシースルー画像が得られる。加えて、瞳孔近傍に光束を収させた後、網膜に照射する「マクスウェル視光学系」の応用により、装着者の視力を選ばないフォーカスフリーという特長も備える。
半導体レーザーをMEMSミラーを介し網膜に照射
今回、実用化にメドを付けたレーザー網膜走査型ディスプレイは、赤・緑・青の三原色半導体レーザーのレーザー光をMEMSミラーで反射、走査して、瞳孔を通して網膜上に映像を描画するレーザー網膜走査光学系で実現したという。「液晶など、他の方式に比べ、サイズ、省電力、コスト面での優位性が高く、将来の民生展開まで見据えた場合、大きなアドバンテージを有している」(両者)という。なお、開発したプロトタイプのサイズは全幅162mmで、「現状で業界最小レベルのサイズを達成しているが、今後、個々の機能素子の小型化を進め、通常の眼鏡と変わらない本体サイズ実現していく」という。
網膜に当てるレーザービームの照射パワーに関しては、「JIS/IECで定める基準に照らし、設計上本質的に安全性が求められるクラス1に属している。今後、さらにセットのフェールセーフ化など、取るべき対策の基準策定に向け業界での議論に貢献していきたい」としている。
なお、網膜走査型ディスプレイはブラザー工業が2008年に試作機を開発していた。
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