検索
連載

「SSDが壊れた」後(前編)福田昭のストレージ通信(7)(1/2 ページ)

過去3回では、SSDが「壊れるまで」を説明してきた。SSDについては、「いつ壊れるか」という認識を持つべきだという主張もある。今回からは「壊れた後」に焦点を当て、まずは壊れる原因をまとめていく。

PC用表示 関連情報
Share
Tweet
LINE
Hatena

SSDは「いつか必ず壊れる」

 SSD(Solid State Drive)は使っていれば、いずれ、壊れる。壊れたSSDのデータを復旧させる(厳密には取り出す)サービスを手掛けている企業(データ復旧サービス企業)は、SSDが「壊れるかどうか」という考え方は誤っており、「いつ壊れるか」という認識に改めるべきだと主張する。上記のコメントは、2011年にフラッシュメモリの業界イベントでデータ復旧サービス企業「DriveSavers Data Recovery」のシニアエンジニアが述べた内容の一部だ。

 この講演では、フラッシュメモリコントローラとファームウェアが原因の故障、はんだ付け不良の故障、NANDフラッシュメモリチップの不良、ユーザーによる誤操作などがSSDの故障原因になると述べていた。

 それではSSDが故障し、データを読み書きできなくなる原因には、何が多いのだろうか。幸いなことに、具体的な原因を調査した資料がある。3年ほど前の2011年にデータ復旧サービス企業「Kroll Ontrack」が公表した資料だ。

 この公表資料によると、システムの不具合(マッピングテーブルやファームウェアなどの不具合)が最も多く65%を占める。次いでファイルシステムの不具合(OSの衝突、ウイルス)が15%、ユーザーによる誤操作(誤消去、誤フォーマット)が10%、物理的な損傷(液体浸漬、火災、衝撃、コネクタ破損など)が10%、電気的な不具合(半導体チップの不良)が5%となっている。NANDフラッシュメモリの不良は電気的な不具合に含まれているので、NANDフラッシュに起因する故障(「データ消失」とデータ復旧サービス企業は呼んでいる)は実際には非常に少ないことが分かる。


SSDのデータが消失する(読み書きできなくなる)原因とその割合(クリックで拡大) 出典:Kroll Ontrack(2011年7月)

モバイル機器のフラッシュストレージが故障する要因

 SSDではなく、NANDフラッシュメモリをストレージとするモバイル機器(スマートフォン、メディアタブレット、PDAなど)に対象を拡大すると、データ消失の様相は少し変わってくる。2013年に「Kroll Ontrack」が公表した資料がある。

 この資料ではデータ消失の原因を「物理要因」と「ソフトウェア要因」の二つに分けた。調査結果ではデータ消失の原因として物理要因が約3分の2を占めており、ソフトウェアに起因するデータ消失は約3分の1になる。SSDではデータ消失要因の8割強をソフトウェアの不具合(システムとファイルシステム、誤操作)が占めていたので、ずいぶんと様相が違っていることが分かる。


モバイル機器(スマートフォン、メディアタブレット、PDA)のフラッシュストレージでデータが消失する原因とその割合(クリックで拡大) 出典:Kroll Ontrack(2013年)

 様相が異なる原因は少なくとも、二つ考えられる。一つは、スマートフォンに比べるとSSDのソフトウェアが複雑で、バグが発生しやすいというもの。もう一つは、2011年に比べると2013年にはフラッシュストレージのソフトウェア開発がこなれてきて、バグが減少したというものだ。いずれの要因もありそうだし、両方とも真実である、ということもあり得る。さらには、使われる環境の違いも考えられる。SSDは機械的衝撃や温度変化などが比較的小さな環境で使われるのに対し、スマートフォンは機械的衝撃・振動が大きく、温度変化が大きな環境で使われる。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

       | 次のページへ
ページトップに戻る