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ドイツとイングランドの戦いは既にキックオフ? 最先端のゴール判定技術で【後編】ワールドカップで本格的に導入(1/2 ページ)

開催を間近に控えた「2014 FIFAワールドカップ」。FIFAは、4つのゴール判定技術を認定している。後編では、前編で紹介した「GoalControl-4D」と「Hawk-eye(ホークアイ)」以外の2つ、「GoalRef」と「Cairos」を取り上げる。

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⇒前編はこちらから

 ゴール判定技術は、強力な画像処理アルゴリズムを使い、各カメラの監視範囲内でボールの位置を特定する。ゴール前エリアでのボールの位置を三角測量で計算し、その誤差範囲は数mm以下だという。FIFA(国際サッカー連盟)はかつて、誤差の許容範囲を±3cmと規定していたが、現在はその半分となる±1.5cmに改正している。GoalControlとHawk-Eye Innovationsはいずれも、それぞれのゴール判定システム「GoalControl-4D」と「Hawk-eye(ホークアイ)」が、改正後の許容誤差にも十分対処可能であると自信を見せている。

 さらに両社とも、「いかなる状況下でも稼働できるシステムなので、悪天候下や、照明の位置がさまざまに異なる場合の他、ボールが泥にまみれていたり、ゴール前エリアで選手たちが大勢入り乱れているような状況でも、高い精度で機能する」と主張している。

 カメラで捉えた映像はすべて保存され、常時再生可能だという。

暗号化信号

 GoalControl-4Dとホークアイが唯一異なる点は、審判の腕時計に暗号化信号を伝送する際の手法だ。審判用の腕時計を製造するメーカーがそれぞれ違う。少なくとも、利用する周波数帯は異なるとみられている。ただし、両社とも、この点についてはセキュリティ上の理由から企業秘密情報であるとして、詳細を明かしていない。

 Hawk-Eye Innovationsは、各種スポーツに向けたRF(高周波)製品の開発を専業とするAdeunis RFと協業している。同社のUpshon氏は、「安全性と堅牢性を備え、電波干渉の心配もない腕時計を実現した」と述べる。

 GoalControlのBroichhausen氏によれば、GoalControlも他のメーカーと協業関係を結んでいるという。EE Timesが独自に入手した情報から、ワールドカップで使われる腕時計は、ドイツの研究機関であるフラウンホーファーIIS(集積回路研究所)の研究グループによって専用に最適化されたものであることが明らかになった。


出典 FIFA

 今後、ゴール判定技術の分野でも、FIFAや英国のプレミアリーグが採用を決断することによって、ベータマックスとVHSのビデオ規格争いのような状況に陥るのだろうか、という疑念が生じる。しかし、必ずしもそうとは限らないようだ。

 FIFAが認定して独自に試験を行い、最終候補リストに残った4つの技術の中から、今回GoalControl 4-Dが選ばれた。全部で12種類あった候補技術の中には、ボールにステッカーを貼り付けたり、ゴールライン上でレーザービームを使用するなど、一風変わったアイデアもあった。最終候補の4技術のうちの2つである「GoalRef」と「Cairos」は、いずれもゴール周辺に低周波磁場を発生させ、コイルを内蔵したボールが通過したときの磁場の変化を読み取って、ゴールを判定するというシステムだ。

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