「SSDが壊れた」後(後編):福田昭のストレージ通信(8)(2/2 ページ)
前編では、SSDはいずれ壊れるという話をした。後編では、壊れた(データを読み出せなくなった)場合の対処法について説明する。データ復旧サービス企業の1つは、SSDの不具合を4段階に分け、それぞれ異なる手法を適用している。
SSDを認識しない重度の不具合
不具合が「レベル3」以上になると、ホストマシンがSSDを認識しない。かなり深刻な状況である。レベル1とレベル2のデータ復旧技術を用いてもデータを取り出せない場合、レベル3に特有の手法を適用することになる。
ここまでデータが壊れていると、データ復旧の手法は大きく変わってくる。LBAにアクセスできたとしても取り出せるのはデータの断片に近い。データ全体のイメージをつかむことで、不足したデータを補う必要がある。データ復旧ツールに要求される機能はより高度になる。
そして最難関の「レベル4」は、レベル1からレベル3の手法を持ってしても結果が芳しくない場合を指す。もちろん、ホストマシンがSSDを認識することはない。
レベル4におけるデータ復旧の手順はまず、NANDフラッシュメモリが内蔵しているデータ(物理データ)を取り出すことにある。取り出した物理データを専用のソフトウェアに読み込ませることで、論理データを読み取る。ここで重要なことは、物理データが暗号化されていないことだ。また取り出す物理データには、冗長ブロックや誤り訂正符号、メタデータなどの全てのデータが含まれる。データの復旧には、広範囲にわたる後処理や符号化、フィルタリング、縫い合わせなどが必要となる。
DriveSavers Data Recoveryは、SSDの不具合を4段階に分けて対処方法を変えるこの方法を適用することで、大規模SSDのデータ復旧率を80%以上に向上できたとする。
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筆者紹介
福田 昭(ふくだ あきら)
フリーランスのテクノロジージャーナリスト/アナリスト。
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