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市販プリンタで回路を印刷! 銀ナノ粒子を使った導電性インク東京大学発のベンチャー企業 AgIC(2/3 ページ)

東京大学発のベンチャー企業 AgICは、市販インクジェットプリンタで印刷できる導電性インクの市販を2014年夏から開始する。写真用光沢用紙や同光沢処理を施したプラスチックフィルムに自在にパターンを描くことができ、教育現場や電子工作市場、大面積基板を必要とする用途などへの拡販を展開する。

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2014年夏からペン、インクカートリッジを一般販売へ

 AgICでは、2014年7月から導電性インク入りマーカーを1200円の価格で市販する他、同年8月から、ブラザー製プリンタに対応するインクカートリッジ一式(約2万円/おおよそA4用紙100枚分)の一般販売を開始する。「既に使用済みのプリンタでもノズルなどを洗浄することで使用できるが、基本的には新しいプリンタの使用を勧める」(清水氏)というものの、市販プリンタを購入し、黒、マゼンダ、シアン、イエローの全色のインクタンクに導電性インクカートリッジを差し込むだけで、回路プリンタが実現できる。


AgIC創業者でCEOを務める清水信哉氏

 「特別なドライバソフトなど必要なく、一般的な電気CADのプリントボタンを押せば、配線板が印刷される。もちろんパワーポイントやペイントソフトなどでもパターンを作成できる」とする。回路線幅は、プリンタに依存するが、ライン幅、スペース幅ともに0.15mm程度の加工に対応し「廉価な3Dプリンタよりも、大幅によい精度が出せる。回路プリンタとしてはオーバースペックといえるほど、市販プリンタの精度は高い」(清水氏)という。

 なお、AgICの導電性インクで描いたパターンの抵抗値は、約0.2Ω/sq。清水氏は、「カーボンなどの従来の導電性インクのペンに比べ、10倍以上抵抗値は低い。一般的な銅配線基板に比べると100倍程度抵抗値は大きいが、マイコンなどを実装する基板としては、十分に使用できる範囲の抵抗値」と説明する。

 紙に描いたパターンへの部品実装は、導電性接着剤や異方性導電フィルムを使用した導電性テープなどを用いることで、ブレッドボードやユニバーサル基板では面倒な表面実装部品の実装が簡単に行える。「特に導電性テープは便利。両面テープのようなテープで、テープの厚み方向にしか電気を通さず、一切れのテープで、複数の端子のICも実装できてしまう。強度も、一般的な接着剤を併用することで、容易に補強できる」という。

部品実装した様子。導電性接着剤、導電性テープで表面実装部品を実装できる (クリックで拡大)

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