岐路に立つIBMの半導体事業 〜従業員はどう捉えているのか〜:工場売却の可能性は高い?(1/3 ページ)
「IBMが半導体の製造工場を売却する可能性がある」。この報道は決して新しいものではない。HDDやノートPC、サーバなどハードウェア事業を縮小しているIBM。同社の半導体事業も大きな岐路に立たされている。
EE Timesは、アナリストやIBMの元/現従業員に対して、IBMの将来に関するインタビューを行った。インタビューでは、「IBMは半導体製造工場を売却し、半導体製造から撤退すべきだ。製造工場の売却先として最もふさわしいのは、GLOBALFOUNDRIESだ」という意見が聞かれた。
IBMグループのあるシニアエグゼクティブは、「IBMにとって半導体部門は戦略的事業であり、少なくとも当面は現在の事業形態を維持していくことになる」と述べ、2014年2月に「IBMが2つの製造工場のいずれか、あるいは両方の売却先を探している」と報道された件については、直接は触れなかった。
半導体メーカーとしてのIBMの役割についてはたびたび議論されているが、「IBMは過去数十年間にわたって、半導体業界のリーダーとして最先端技術の開発と業界の前進に大きく貢献した」という点では、意見が一致している。
IBMはファブレス化すべきだという意見も多く聞かれる。2つの製造工場への設備投資は、数年間にわたり行われていない。「半導体事業は、IBMのビジネスモデルに合っていない」との指摘もある。
IBMは、大量生産で、かつ利益率の高いゲームコンソール向けASICを製造していたが、最新のゲームコンソールにはAMD製チップが搭載されることになっている。さらに、IBMが半導体開発の主軸に置いてきたサーバ事業も不振で、現在も脱却を図れていない。
繰り返される人員削減
人材面を見ると、半導体部門の従業員は、人員削減が複数回にわたって実施されたことに大きなショックを受けているという。彼らは、「過去数年間の事業不振に対応するために、半導体事業の売却を検討すべきだ」と考えているようだ(関連記事:IBM、米国で人員削減を開始)。
2013年7月に解雇されたIBMの元従業員は、「人員削減は今後も実施されるだろうとうわさされている。何度も行われると常に不安な気持ちになり、社員の活気が失われてしまう」と話していた。
IBMのあるベテラン社員は、同僚が2013年に、強制的に1週間の無給休暇を取らされたことを、匿名を条件に話した。その同僚は休みの間に就職活動を行い、Qualcommに転職したという。同社員は「多くの同僚がQualcommに転職した」と述べている。
IBMの従業員の中には、Intelの成長事業であるファウンドリ部門やAMD、Freescale Semiconducterに再就職した人もいるという。さらに最近、GLOBALFOUNDRIESが、IBMの経験豊富なエンジニアやマネジャー200人を臨時採用したことを明らかにした。彼らは、2014年5〜12月にかけて、GLOBALFOUNDRIESが米国ニューヨーク州北部の建設した「Fab 8」の立ち上げに従事するという。
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