岐路に立つIBMの半導体事業 〜従業員はどう捉えているのか〜:工場売却の可能性は高い?(3/3 ページ)
「IBMが半導体の製造工場を売却する可能性がある」。この報道は決して新しいものではない。HDDやノートPC、サーバなどハードウェア事業を縮小しているIBM。同社の半導体事業も大きな岐路に立たされている。
2014年中に動きがある可能性も
アナリストのNathan Brookwood氏は、「米ニューヨーク州フィッシュキルと、バーリントンの工場の売却は、これまでに同社がHDDやノートPC、x86サーバなどのコモディティハードウェア事業を売却した経緯と似ている」と指摘する。
Brookwood氏は、「IBMは、半導体製造を開始した1970年代当時、メインフレームとミッドレンジコンピュータ向けのカスタムプロセッサを製造するための自社製造工場が必要だった。だが現在は、大手のファウンドリがファブレス半導体企業向けにさまざまなプロセス技術を適用した製品を提供している」と説明する。
「IBMは2014年中に製造工場を売却する可能性がある。おそらく、2014年末までにフィッシュキルの工場をGLOBALFOUNDRIESに売却するだろう」(Brookwood氏)。
IBMは、GLOBALFOUNDRIESなどと「Common Platform」というアライアンスを結成し、複数の世代のプロセス技術を共同開発している。Brookwood氏は、「IBMもファブレスの流れに乗るべきだ」と指摘する。「ファブレス化していない企業はもはやほとんどない。IBMも、製造工場全体が稼働するほどのニーズがない」(同氏)。
IC InsightsのシニアアナリストであるRob Lineback氏は、「IBMが製造工場を売却する可能性があるというニュースは、10年以上前から報じられてきた。今が、工場を売却するタイミングなのではないだろうか」と述べている。
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