NECと東北大が共同で次世代スパコン開発へ:ビジネスニュース
NECと東北大学サイバーサイエンスセンターは2014年6月27日、次世代スーパーコンピュータ技術の共同研究部門を設立し、同年7月1日から研究開発を開始すると発表した。
NECと東北大学サイバーサイエンスセンターは2014年6月27日、次世代スーパーコンピュータ(以下、スパコン)技術の共同研究部門を設立し、同年7月1日から研究開発を開始すると発表した。主にスパコンのアーキテクチャやシミュレーション技術の高度化と、その応用に関する研究を行うとともに、計算科学の発展を担う人材の育成を目指す。
東北大学とNECの両者は、研究開発実施に伴い東北大学サイバーサイエンスセンター内に「高性能計算技術開発(NEC)共同研究部門」を7月1日に設置。同部門には、東北大学サイバーサイエンスセンターから研究者および職員、NECから技術者が参加し、研究活動を行う。
共同研究の目的について両者は、「日本の高性能計算環境の強化、発展に貢献するとともに、高性能シミュレーション技術の先端科学技術分野や学際融合分野への応用を促進していく。これらの成果を、近年、特に重要性が高まりつつある防災/減災、モノづくり分野に還元することにより、災害に強い国土づくり、グローバルな産業競争力の形成に貢献していく」としている。
プロセッサ、メモリなどのデバイス技術も
主な共同研究開発内容は、次世代スパコンに必要とされる要素技術と、地震/津波/気候変動シミュレーション解析などの防災や最新航空機開発などさまざまな科学的、社会的課題を解決するためのアプリケーションプログラムの高速実行技術などとする。
次世代スパコンに向けた要素技術の研究対象は、プロセッサアーキテクチャ、ノード・メモリシステム、ネットワークシステム、I/O・ストレージシステムの設計と、それらの実現に求められるデバイステクノロジーなどとする。また、マルチノード・ベクトルスーパーコンピュータシステムにおいて求められる高効率のベクトル処理や、大規模並列化技術の研究開発も実施する方針だ。
その他、同共同研究部門では、データ解析に伴って得られる大量データの利活用(ビッグデータ)の研究についても外部を含めた研究者と連携して行う予定で、「高性能計算を通じた産学連携拠点の形成を目指す」(NEC/東北大学)という。その上で、「東北大学の関連する大学院研究科や国内外の研究機関などと積極的な人材交流を通じて、今後の計算科学・計算機科学分野における実践的な人材育成を図る」としている。
東北大学とNECは、1958年にパラメトロン式の電子計算機SENAC-1(NEAC-1102)の共同開発を皮切りに、高性能計算技術の研究や、ユーザーアプリケーションの高速化/並列化を行う研究を継続して行ってきた経緯があり、2014年10月に運用開始予定のNEC製スパコン「SX-ACE」の開発においても、共同開発のノウハウが活用されているという。
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