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ザイリンクス優位は、20nm/16nm世代でも揺るがないザイリンクス日本法人代表取締役社長 サム・ローガン氏(2/2 ページ)

ザイリンクス日本法人は、現行の主力28nmプロセス採用FPGAの受注が好調だという。同社社長を務めるサム・ローガン氏に好調の理由や、今後、投入を本格化させる20nmプロセス採用FPGA製品のビジネス展望などを聞いた。

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20nm/16nmでの優位性とは

EETJ これまでの慣例ならば、28nm世代の次である20nm世代では、また優劣が入れ替わることになりますが。

ローガン氏 20nm世代でも、われわれの優位性は揺るがない。40nm世代も含めて、デバイスとしての技術的優勢性は常に維持しつづけてきた。そして、28nm世代よりも、技術的に高度になる20nm世代ではより競合との技術差を広がることになるだろう。

 既に出荷を開始している20nm世代品は、前世代に比べてより高速なトランシーバを搭載しており、チップ間通信で、トランスミッター、レシーバーともに32.75Gビット/秒の動作を予定通り実現している。また製品品種数は、現状、出荷を行っているのは、ハイエンド製品ファミリ「Virtex UltraScale」の「VU095」と「VU190」の2型番だが、今後、28nmプロセスの「7シリーズ」と同等の品種数をそろえていく予定だ。ハイエンドの「Virtex UltraScale」、ミドルエンドの「Kintex UltraScale」とアーキテクチャを共通化し、互換性のある製品展開を20nm世代以降では行うため、7シリーズ以上のペースで新製品の出荷が続いていくことになるだろう。

 こうした実績、開発方針を比較してもらうことでも、ザイリンクスの20nm世代以降での優位性を理解してもらえるはずだ。

EETJ 競合他社の戦略をみると、20nm世代よりもその先の14nm世代を重視しているようですが。

ローガン氏 仮に14nm世代重視ということであれば、それは、20nm世代ではわれわれの優位性を覆せないということの現れであり、28nm世代、20nm世代の“ザイリンクス優位の流れ”を14nmプロセスで変えたいということだろう。

 われわれとしても、既に16nm世代品の開発に着手しており、事前の発表通り、2014年内には出荷を開始する。14nmプロセスに対し、16nmプロセスの採用で一見、不利に思われがちだが、20nmプロセス以降の“14、16、20”といった数字は、型番程度の意味合いで大差がないと考えた方がよい。

 ザイリンクスの研究開発投資額はおおよそ売り上げの2割程度なのだが、これは競合他社も同じ。ちなみに、売り上げ規模は当社の方が大きい。この条件で、次世代プロセス品の開発とともに、課題を抱えた現行品の手当てを並行しなければならないメーカーと、現行世代に課題がなく、次世代プロセス品に専念できるメーカーの差がどうなるかは、明白だろう。

プロセス技術に不安なし

EETJ 16nm世代品も、これまでの世代と同様にTSMCに製造委託されます。ただ、TSMCの16nmプロセスは、TSMCとしてFinFET構造を初めて採用するプロセス世代であり、不安視する見方もあります。

ローガン氏 全く問題がない。(FPGAなどの委託生産事業を行っている)インテルの14nmプロセスが22nm世代に続く2世代目のFinFET採用世代であり、そうした実績とTSMCとの実績差で不安視されるようだが、もともと1991年にFinFETを発明した開発メンバーの1人は現TSMCの技師長であり、ある意味、TSMCはFinFETで先行している。

 何より、TSMCは半導体製造を請け負うファウンドリの最大手。生産立ち上げ時から不良なく、安定生産するなど、ファウンドリとして求められる技術ノウハウは他にはない。ザイリンクスは、TSMCの主要顧客としてプロセス開発に関わっており、これまで同様、16nmプロセスでも、当社FPGAに適したプロセスでの製造が行われる。

受注好調

EETJ 製品出荷から間もないですが、「Virtex UltraScale」の市場での反応はいかがでしょうか。

ローガン氏 既に多くの採用が決定している。通信分野に限らず、ハイエンドなFPGAを求めるアプリケーションで支持されている。ハイエンド領域では、2014年内出荷予定の16nm世代品も含めて、UltraScaleアーキテクチャ採用製品への移行が進んでいくのではないだろうか。

EETJ Artixファミリでカバーするローエンド品についてはいかがですか。

ローガン氏 これまでは、新しいプロセス世代品の出荷と同時に、旧来プロセス世代品の新規製品開発を中止してきたが、今回、20nm/16nmプロセス採用の「UltraScale」投入後も、28nm世代の「7シリーズ」の新規製品開発は継続する。そのため、ArtixやZynqファミリについては、28nmプロセスを使って長く製品展開を続けていく。Zynqファミリについては、搭載CPUコアのバリエーション拡充やUltraScaleアーキテクチャ採用品の将来的な投入も検討しており、選択肢をさらに広げていくつもりだ。

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