マイクロ波/ミリ波帯用SBD向け低容量パッケージ技術:新技術 高周波デバイス
ヨコオは2014年7月、マイクロ波/ミリ波帯を用いるレーダー検知システムや通信機器などに向けて、中空構造パッケージを採用したショットキーバリアダイオード(SBD)を開発した。ベアチップでの実装を強いられていたマイクロ波/ミリ波帯SBDをパッケージ化した。
ヨコオは2014年7月17日、マイクロ波/ミリ波帯を用いるレーダー検知システムや通信機器などに向けて、中空構造パッケージを採用したショットキーバリアダイオード(SBD)を開発したと発表した。従来、ベアチップでの実装を強いられていたマイクロ波/ミリ波帯SBDのパッケージデバイス化を、低抵抗、低容量の中空構造パッケージ技術で実現した。
マイクロ波/ミリ波帯デバイスは、わずかな寄生容量でも性能が損なわれる。このため、一定の寄生容量が発生するパッケージ化が難しく、マイクロ波/ミリ波帯デバイスを使いこなすには、ベアチップのフリップチップボンディング技術が必要だった。
これに対し、ヨコオでは、フレックス積層基板技術を用い低損失のポリイミド基板を使用した寄生容量の小さい中空構造パッケージを新規に開発。マイクロ波/ミリ波帯用SBDをハンドリングが容易なパッケージデバイスにすることに成功し、製品化した。
中空構造パッケージ採用SBD「YSD040SLPP01」は、最大40GHzの高速動作に対応するGaAs(ガリウムヒ素)ベースのシングルチップSBDを搭載し、パッケージサイズは1.2×1.6mm。25℃時の電気性能は、全容量60fF(電圧0V、1MHz時)、接合容量30fF(同)、順電圧700mV(If=1mA時)、直流抵抗5Ω(Imax=10mA時)、逆電圧10V(Ir=10μA)となっている(いずれも標準値)。
ヨコオでは、「今後、ダイオードを複数搭載した製品の開発を推進し、2015年6月にはパラレル型、アンチパラレル型の製品リリースを計画している」という。
また、ヨコオは、YSD040SLPP01の製品化とともに、GaAsベースのベアチップSBDとして、80GHz対応の「YSD080SLBD01」と110GHz対応の「YSD110SLBD01」の2品種を製品化した。いずれの製品も、販売代理店を務める菱電商事が販売を行う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 2017年にミリ波レーダーはもっと安くなる? 富士通研がCMOSパワーアンプを開発
富士通研究所は、シリコンベースの半導体の製造に用いるCMOS技術でミリ波レーダーのパワーアンプを実現できる技術を開発した。ミリ波レーダーを使った自動車の予防安全システムの低価格化をさらに進展させられる可能性がある。2017年以降に量産車両への採用を目指す。 - Samsungが5G向け通信技術を開発、2020年の商用化を目指す
Samsung Electronicsが第5世代(5G)向けの通信技術を開発したと発表した。ミリ波帯を使用し、基地局当たり数十Gビット/秒(Gbps)のデータ転送速度を実現できると見込んでいる。 - 高周波GaN次世代素子が存在感、旧来素子からの移行が本格化へ
高周波信号の大電力増幅に用いる素子(デバイス)として、GaN(窒化ガリウム)材料を使うトランジスタが存在感を増している。これまで電子管やGaAs(ガリウム・ヒ素) FET、Si(シリコン) LDMOSといったデバイスが使われていた応用分野で、GaNトランジスタへの移行が進む条件が整い始めているのだ。GaNデバイスの魅力とは。置き換えが進む条件とは。製品の開発状況は。背景や動向をまとめた。