イカの動きがヒントに! ポケットサイズの制御機器を使った水中ロボット:NIWeek 2014(1/3 ページ)
National Instruments(ナショナルインスツルメンツ)の年次テクニカルカンファレンス「NIWeek 2014」3日目の基調講演では、アカデミック分野へのNIの取り組みと成果が紹介された。中でも大きく取り上げられたのは、「Student Design Competition」で1位となったチューリッヒ工科大学のコウイカ型水中ロボットだった。
Naitonal Instruments(ナショナルインスツルメンツ/以下、NI)は2014年8月4〜7日、本拠地の米国テキサス州オースチンにあるカンファレンスセンターで、年次テクニカルカンファレンス「NIWeek 2014」を開催した。3日目となる8月7日(現地時間)の基調講演では、アカデミック分野への取り組みと成果が紹介された。
ポケットサイズのFPGA搭載計測/制御機器
NIは昨年の「NIWeek 2013」において、エンジニアリングやサイエンスを学ぶ学生向けの製品「myRIO」を発表している。myRIOは手のひらサイズのケースに、「Xilinx Zynq-7000 SoC」(Artix-7 FPGAとデュアルコアARM Coretex-A9から成る)を中核として、加速度センサー、角速度センサー、地磁気センサーや各種デジタルI/O(SPI、I2C、UART、PWMなど)を搭載した製品だ(関連記事:ポケットにFPGA搭載の計測器を、学生実験を一新するアプローチ)。
基調講演ではAcademic Courseware Project ManagerのBrooke Turner氏が、myRIOについて「信じられないほどの大成功を収めている」と胸を張った。出荷後の9カ月で、世界65以上の国と地域、850以上の大学で、2万台以上が利用されている。myRIO向けのアプリも13ほど登場したという。非常に複雑な処理もできるmyRIOで高度な制御を行う「作品」が次々に登場しているという。
イカの動きがヒントに! 水中ロボット
NIは学生を対象に、同社のシステム開発ソフトウェア「LabVIEW」とNIのハードウェアを使った革新的プロジェクトのコンテスト「NI LabVIEW Student Design Contest」を毎年実施している。今回も25カ国から全3250チームの応募があったが、最終選考に残った3作品はいずれもmyRIOを使用していた。1つは、固形燃料を使ったロケットのプロジェクト、UNCC(ノースカロライナ州立大学シャーロット校)の「NASA Student Launch Project」、もう1つはKAIST(韓国科学技術院)の自律運転自動車「EureCar」。そして、1位になったのがスイスのチューリッヒ工科大学によるコウイカ型水中ロボット「Sepios」で、基調講演で大きく取り上げられた。
UNCCの「NASA Student Launch Project」は固体燃料ロケットを使って、目的の高度まで複数のペイロードを打ち上げるというもので、myRIOは推力のコントロールに使われている(クリックで拡大)
水中探査ロボットとして構想されたSepiosは、コウイカ(Cuttlefish)のヒレの動きにヒントを得て開発された。従来使われてきた潜水艦型のロボットは操縦が難しく、移動するときに巻き起こす水流や渦が周囲の環境を乱してしまうという課題があり、それに対処するためだ。出来上がったSpiosのプロトタイプは、コウイカのごとく、ヒレを波立たせて移動する。プロトタイプは、LEGOのプログラム可能なロボット教材「LEGO MINDSTORM」のコントローラを使って組み立てられた。当初はC言語を使った制御プログラムの開発に手こずり1、2週間が過ぎたが、LabVIEWを使ったところ、わずか1日でプログラムが完成したという。
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