富士通三重工場にUMCが100億円出資――40nmライン新設し車載向け製品を生産へ:ビジネスニュース 企業動向
富士通セミコンダクターは2014年8月29日、新設予定の三重工場(三重県桑名市)を運営するファウンドリ会社に台湾のUMCが100億円を出資することで基本合意した。同時に、UMCの40nm LP(Low Power)プロセス技術を富士通セミコンにライセンス供与し、同工場に40nmプロセス製造能力を構築することでも基本合意した。
富士通セミコンダクターは2014年8月29日、新設予定の三重工場(三重県桑名市)を運営するファウンドリ会社に台湾のUMCが100億円を出資することで基本合意した。同時に、UMCの40nm LP(Low Power)プロセス技術を富士通セミコンにライセンス供与し、同工場に40nmプロセス製造能力を構築することでも基本合意した。
2度に分けて計100億円を投資へ
富士通セミコンは、経営再建の一貫として、製造拠点の別会社化を進めている(関連記事:半導体事業からの完全撤退への布石? 富士通が半導体工場分離を発表)。300mmウエハーラインを持つ三重工場については、2013年2月に、台湾・TSMCから半導体受託製造専門企業の出資を得て、分社する方針を公表していた(関連記事:富士通とパナがシステムLSI事業統合を正式発表、ファブレス新会社を設立へ)。
ただ、TSMCとの交渉は難航し、2013年後半からは、TSMC以外の半導体受託製造専門企業などとの交渉を進め、今回、UMCから出資を得ることで合意に至った。
富士通セミコンでは、2014年12月に三重工場運営新会社を完全子会社として設立する計画。その後、2015年3月末までにUMCが新会社にまず50億円を出資する。出資後のUMCが所有する株式比率は約9.3%としている。
その後両社は、三重工場内に40nmプロセス対応製造ラインを新設し、生産能力増強、微細プロセス対応を進める方針。なお、40nmプロセス対応製造ライン構築時には、UMCがさらに50億円を追加投資する予定だという。
40nmプロセスを用いたデバイスの製造開始時期については、「2016年ごろの見込み」とし、同時期までには、UMCの新会社に対する出資額は計100億円となる。
40nmプロセスラインを新設し、車載用マイコンを製造か
UMCの40nm LPプロセス技術は、2015年以降に量産される次世代マイコンなどでも採用が見込まれている技術。UMCのCEOであるPo Wen Yen氏は、「日本の半導体会社との合弁会社設立を通じたパートナーシップによって、新しい工場を建設する時間、リスクおよびコストを埋め合わすことができるだけでなく、UMCが既存の台湾とシンガポールの300mmウエハー対応製造工場に加え、もう1つの300mm対応製造拠点を利用できることを意味する。例えば日本の自動車メーカーのように、強固な事業継続計画(BCP)を実施しているサプライヤを探している顧客がいるが、アジアの別々の場所に3つの300mm対応製造拠点があることは、UMCと新会社がそのような製造リスクを軽減したい顧客の役に立つことができる独自の存在になることを意味する」と国内自動車メーカーを意識したコメントを行っている。
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