「制御とITの融合技術」で「一歩先の世界へ」――ルネサス DevCon基調講演リポート:ビジネスニュース 企業動向(2/2 ページ)
ルネサス エレクトロニクス(以下、ルネサス)は、「一歩先の世界へ〜Keeps you ahead of the challenges〜」をテーマにしたプライベート展「Renesas DevCon Japan 2014」を開催した。同社幹部による基調講演や多くのセミナー、製品展示などを通じて、「制御とITの融合技術を推進」することで実現可能となる「一歩先の世界」を提案した。
「高圧縮」「セキュリティ」「インバータ」などの技術で解決
執行役員常務を務める横田善和氏は、「IoTが拓く未来」について語った。ルネサスが考えるIoTについて横田氏は、「モノにインテリジェンスを与えて『自律』させ、モノとモノがつながることで新たな価値が生まれる」と説明する。2020年にはインターネットに接続されるノード数が500億個、センサー数は1兆個に達するとみられている。
インターネットに接続されるモノが増えると、新たな課題も出てくる。無駄なデータも含めた「トラフィックの渋滞」、ハッキングなどの「セキュリティの問題」、接続される機器数の増加に伴う「エネルギー問題」などである。これらの課題に対してルネサスは、「シティ」、「ホーム」、「オフィス」および「ファクトリ」と4つのシーンで課題解決に取り組む。
例えば、ネットワークカメラを使った防犯システムの設置がある。設置台数が増加し、高精細な映像を転送すれば、トラフィック量は急増し渋滞が起きる。これに対してルネサスは、高圧縮技術「H.265」に対応するLSIの開発を行う。橋梁や道路などの建造物モニターシステムなどに向けては、強固なセキュリティ技術を提供している。横田氏によれば、「セキュリティ技術は市場での実績が重要である。ルネサスはセキュアICで30年の実績があり、累計出荷数は40億個に達している」という。
ホームやオフィス環境では、エアコンや冷蔵庫、モータのインバータ制御技術で省エネ化を推進していく考えだ。横田氏は、「世界にある非インバータモータのうち10%をインバータ化すると、火力発電所430基を削減できる」と話す。インバータ化への移行を推進していくため、同社ではマイコンと制御ソフトウェアなどを組み合わせたキットビジネスに注力していく。
会場では、横田氏が手首にライブログ端末を取り付け、デモ展示も行った。ライブログ端末で脈拍や体温を測定し、Bluetooth Smart経由でスマートフォンにデータを送り、クラウドでデータを収集しタブレット端末に脈拍数などを表示した。ライブログ端末には、ルネサスのローパワーマイコンやスマートアナログIC、Bluetooth Smart通信モジュールなどが搭載されており、「パートナー企業と連携して、これらのシステムを3か月間という短期間で開発した」ことも併せて紹介した。
ファクトリ関連では、機能安全規格「IEC61508」対応のシステム開発を短縮することができるセーフティパッケージの提供や、高速リアルタイム処理を可能とする「R-INエンジン」を紹介した。特に、R-INエンジンは生産ライン以外の用途拡大に向けて「R-INコンソーシアム」を発足し、2015年4月より活動を始めることを明らかにした(関連記事:産業用イーサネット対応機器開発を支援、ルネサスがコンソーシアム立ち上げ)。横田氏は、「既に、20社のパートナーがR-INコンソーシアムの活動に賛同している」と述べた。
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