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次なる“キラーアプリ”は自動車、Bluetooth Smartカーオーディオだけにとどまらない(1/2 ページ)

ハンズフリー通話やカーオーディオなど、自動車内においてBluetoothは既に欠かせない技術となっている。Bluetooth Smartが登場したことで、ビーコンやキーレスエントリを応用した、従来の用途にとどまらない幅広いアプリケーションを実現できる可能性が広がっている。

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 現在、Bluetoothの「キラーアプリケーション」になりつつあるものが自動車です。運転中のハンズフリー通話やカーオーディオの利用に象徴されるように、自動車そのものが、Bluetoothにとって重要な用途になっています。

 自動車業界でのBluetooth採用数は堅調に伸びていて、Bluetoothの成長を支えています。ハンズフリー通話やカーオーディオのストリーミング機能は数多くの新型車で標準装備となり、今後はインフォテインメントシステムとモバイル端末の連携だけでなく、車載用センサー、車載システムとの連携に期待が高まっています。その連携に欠かせない技術がBluetooth Smartです。

 2010年にリリースしたBluetooth Smartは、車載インフォテインメントシステムにおいて、これまでにない使い方を実現します。電力効率に優れているBluetooth Smartは、アプリケーションに大量のデータを転送できるよう最適化されています。低消費電力で、素早く接続できる同技術は、自動車内での機器の連携だけでなく、車外のビーコンやセンサーとの連携にも適しています。

Bluetoothがつなぐ、人とクルマのコミュニケーション

 スマートフォンはデジタルライフのハブとして生活に欠かせないものになりました。それは車内でも同様です。運転中の通話や音楽を楽しむだけでなく、車載ディスプレイでアプリを起動すれば、ナビゲーション、渋滞情報、天気予報、映画、レストランの検索など快適なドライブを楽しめます。モバイル機器やウェアラブル機器のシームレスな接続に対する需要が増え続けている今、車載用技術の選択がますます重要になっています。

 BMW「BMWコネクテッド・ドライブ」、フォード「SYNC」、GM「GM Total Connect」、Audi「Audi Music Stream」、そしてトヨタ「Entune」といった車載用マルチメディアシステムなど、Bluetoothは既に普及していて、自動車業界は車内でのアプリケーション利用やBluetoothを用いたインフォテインメントシステムに期待を寄せています。米調査会社ABI Researchは、2016年までに大半の自動車にBluetoothが搭載されると予測しています。Bluetoothは、車載無線技術の“事実上の標準仕様”といっても過言ではないでしょう。


運転時の情報を提供する「Automatic」(クリックで拡大)

 Bluetoothの自動車での役割はインフォテインメントシステムにとどまらず、その先を見据えています。「Bluetooth ブレイクスルー・アワード 2014」で受賞を果たした「Automatic」は、さまざまな情報を提供によってドライバーを支援するアプリやセンサー端末「OBD(自己診断機能)ポート」で構成されるシステムです。OBDポートはドライバーのスマートフォンとBluetooth Smartで接続されます。Automaticのスマホアプリでは、運転手の急なアクセルやブレーキ、加速などの運転習慣の情報をスコア化して、燃費向上に役立つ効率的な運転方法をモニターできます。

 もう1つ、重要な用途に、リモコンのキーレスエントリーがあります。キーレスエントリーを採用する自動車は増えています。現在、エントリーシステムのFobキー(認証機能付き鍵)は独自仕様のRF技術が主流ですが、Bluetooth Smartが搭載されれば、Fobキーの用途がさらに広がる可能性があります。例えば、好みに合わせたラジオ番組や音量設定を保存し、キーロック解除に合わせてドライバー好みのインフォテインメントが自動的に選択される――といった使い方ができるでしょう。もちろん、他のドライバーも自分用にアレンジしたFobキーを使えます。また、Bluetooth Smart対応のFobキーは、Bluetooth Smart対応のスマートフォンと通信を行い、駐車した位置情報や自動車の故障情報などをスマホアプリで確認できるようになるかもしれません。

 自動車の安全技術に使うセンサーの数は急増しています。Bluetooth Smartはセンサーのケーブル接続を無線に置き換えることができるので、自動車の軽量化に貢献できます。例えば、タイヤ空気圧監視システム(TPMS)には独自仕様の無線が用いられていますが、将来的には、ここにもBluetooth Smartが採用される可能性があります。そうなれば、クルマに乗車する前に、タイヤ空気圧の情報をスマートフォンやタブレット端末で確認できるようになります。独自仕様の無線でこうした用途を実現するのは、難しくなります。

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