ネイマールのテクニックの秘密は脳にある? 先端技術で解析:新技術(1/2 ページ)
情報通信研究機構(NICT)は9月24日、東京都内で脳情報通信融合研究センター(CiNet)の研究成果に関する記者説明会を開催。「ネイマールに学ぶ脳の効率的運動制御」というテーマで、CiNetにおける脳活動センシング技術の活用や、研究成果について説明した。
情報通信研究機構(NICT)は9月24日、脳情報通信融合研究センター(CiNet)の研究成果に関する記者説明会を東京都内で開催した。CiNetは、NICTと大阪大学が共同で、脳情報通信分野に関する融合研究の推進を目的に創設した研究機関。会見には、CiNet 脳情報通信融合研究室の研究マネージャーで、人間・環境学博士の内藤栄一氏が登壇した。内藤氏は「ネイマールに学ぶ脳の効率的運動制御」というテーマで、CiNetにおける脳活動センシング技術の活用や、研究成果について説明した。
ネイマールの華麗な足技の秘密は脳に?
内藤氏は、プロサッカー選手で、FCバルセロナに所属するネイマール・ダ・シウバ・サントス・ジュニオール氏(以下、ネイマール)の脳が、運動中にどういった動きをするのかを解析する実験を行った。実験に参加したのは、ネイマールを含むプロサッカー選手など7人。MRI(医療用画像診断装置)内に入った被験者に、音に合わせて右足首の旋回運動を行ってもらい、運動中の脳の動きを解析した。
この実験の結果、右足運動中の脳活動は7人の中でネイマールが小さくなったという。「ネイマールに、もう少し足を大きく回すように頼んでみたが、それでも脳の活動が小さいことには変わりなかった。同じ動きでも一般の人に比べて運動野の活動量が小さくなるという現象は、プロピアニストなどにも見られる。ネイマールのような運動の達人は、少ない神経リソースで効率的に運動できるということが分かる」(内藤氏)。
敵をかわす技術にも秘密が
内藤氏は、ネイマールの機敏な動きやプレースタイルの秘密をより詳しく分析するため、さらに実験を重ねた。その内容は、実際に体は動かさず、迫ってくる選手を8回の違う方法で抜き去ってシュートすることを脳内でイメージしてもらい、その時の脳活動を解析するというもの。この実験には、比較対象として、ネイマールに次いで小さな脳の活動で運動を制御していたプロサッカー選手(被験者名:JS氏)にも参加してもらった。
この実験を行った後、両選手に「8回の異なる方法で選手を抜き去る方法を簡単にイメージできたか?」と質問すると、ネイマールは「簡単だった」と答えたのに対し、JS氏は想像するのに苦労した様子だったという。今回の実験の結果には、この両氏の受け答えの違いが明確に表現されることとなった。
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