IBMがGFに半導体工場を譲渡、GFに15億米ドルを支払う:ビジネスニュース 企業動向
IBMが、GLOBALFOUNDRIES(グローバルファウンドリーズ/GF)に半導体製造工場を譲渡する。IBMはGLOBALFOUNDRIESに15億米ドルの現金を支払う。両社とも従業員の解雇はない。
IBMが、GLOBALFOUNDRIES(グローバルファウンドリーズ)に半導体製造工場を譲渡すると発表した。この譲渡の話は以前からうわさされていたが、それが現実になった(関連記事:岐路に立つIBMの半導体事業 〜従業員はどう捉えているのか〜)。
取引の主な内容は次の通り。
- IBMは今後、3年間にわたりGLOBALFOUNDRIESに15億米ドルの現金を支払う
- IBMは、半導体製造工場の譲渡費用として、上記現金の支払いを含め、2014年第3四半期(7〜9月期に)に47億米ドルを計上する(税引き前費用として)
- 譲渡される主要な2工場は、過去1年間で7億米ドルの損失を出している
- GLOBALFOUNDRIESは、5000人以上に上るIBMの工場の従業員およびASIC設計者に、雇用のオファーを出す予定だ
- GLOBALFOUNDRIESは、IBMの半導体関連の特許も数千件取得する
- 両社とも、従業員の解雇は行わない方針である
- GLOBALFOUNDRIESは今後10年間、IBMに対し、22nm/14nm/10nmプロセスのサーバ用プロセッサを、独占的に提供する
この譲渡により、GLOBALFOUNDRIESの生産能力は1年当たり200万ウエハーと、現在よりも10%拡大する見込みだ。
今回譲渡する工場には、米ニューヨーク州イーストフィッシュキル(East Fishkill)と、バーモント州バーリントン(Burlington)の工場が含まれる。イーストフィッシュキルの工場は、45nm/32nmプロセスのSOI(Silicon on Insulator)を中心に、1万5000ウエハー/月を生産している。同工場は、IBMのプロセッサ「POWER8」を製造すべく22nmプロセスも加速していて、次世代プロセス開発のために14nmプロセス技術も一部扱っている。一方のバーリントンの工場は、4万5000枚(200mmウエハー換算)/月を生産している。同工場では、携帯電話機向けRFフロントエンドやスイッチ用の130nm/180nm SOIプロセスや、電源IC向けの90nmシリコンゲルマニウムプロセスなど、さまざまなプロセスを導入している。
GLOBALFOUNDRIESは2014年4月に、14nm FinFETプロセスの開発でSamsung Electronicsと提携すると発表していた(関連記事:サムスンとGLOBALFOUNDRISが14nmチップで提携、2014年内に製造開始へ)。
IBMは、半導体の微細化加工技術などの研究開発は継続する(関連記事:IBMが今後5年間で3000億円を半導体開発に投資)。
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