日本でも3位に躍進! 車載半導体世界シェア首位を目指しルネサスを追うインフィニオン:ビジネスニュース 企業動向(1/2 ページ)
インフィニオン テクノロジーズ(Infineon Technologies)は、“クリーン”“セーフティ”“スマート”の3つをターゲットにし、世界車載半導体市場で世界トップを目指す。これまで、地元欧州などと比べ、比較的低シェアで推移してきた日本市場でも急速にシェアを拡大させており、世界車載半導体首位をいくルネサスを世界規模で追う構えだ。
車載半導体「世界シェア2位」
インフィニオン テクノロジーズ(Infineon Technologies/以下、インフィニオン)によると2013年時点で、自動車に搭載される半導体市場でのインフィニオンの世界シェア(金額ベース)は、9.6%で第2位だという。首位は、13.3%を占めるルネサスで、インフィニオンとの差は3.4ポイントだ。「2012年に比べ、インフィニオンのシェアは0.5%上昇した一方で、ルネサスは0.9%落とした。この傾向は続き、これからもルネサスとの差は縮められる」と同社車載事業部プレジデントのJochen Hanebeck氏は言い切る。
主要デバイスを網羅する利点を生かす
シェア上昇に自信をみせる根拠の1つがインフィニオンの車載半導体製品構成の広さだ。
自動車に搭載される主な半導体は、さまざまな事象を検知する「センサー」、センサーからの信号を処理しモーターやエンジンなどを制御する「マイコン」、そしてモーターなどアクチュエータを駆動する「パワーデバイス」の3つが挙げられる。
インフィニオンは、この3つの主要車載半導体を全て手掛ける上、「3製品ともにそれぞれ世界シェアで1〜3位の上位にある*)。このような車載半導体メーカーは当社が唯一だ」(Hanebeck氏)。
*)インフィニオンによると、同社の世界シェア(金額ベース)は車載用パワーデバイスで1位、車載用センサーは2位、車載用マイコンで3位だという。
その上で、「パワーデバイス、センサー、マイコンはいずれも市場規模が伸びる。自動車生産台数は、先進国に関しては成熟市場で伸びはわずかだろう。ただ、新興国、特に中国は大きく伸びる。加えて、クルマ1台当たりに搭載される半導体の価値もアップする。これらの成長を、インフィニオンは包括的な製品群で特に享受できる」と言う。同社では、自動車生産増に伴う成長を年率4%増、クルマ1台当たりの半導体搭載金額増を年率2〜4%増と想定し、その結果、車載事業部として年率最大8%の成長が可能だと見込む。
ターゲットはクリーン、セーフティ、スマート
インフィニオンでは、より成長を加速するため、とりわけ高い半導体搭載金額増加率が見込まれる“クリーン”“セーフティ”“スマート”という3つのキーワードに関係するアプリケーションに重点を置く。
例えば、クリーン。CO2削減に向け、ハイブリッド車(HEV)/プラグインハイブリッド車(PHV)への移行が進みつつある。従来の内燃エンジン車に比べHEVは半導体搭載金額が2倍以上になる。「HEV化で新たに搭載される半導体のおよそ76%がパワーデバイスが占め、マイコン、センサーを加えれば84%にも上る。これは、インフィニオンにとって大きなチャンスだ」という。同様に、セーフティでもADAS(先進運転支援システム)の搭載拡大、スマートでは、セキュリティシステムの必要性の拡大に伴うセキュアマイコンの需要拡大などを見込み、積極的な製品開発、販売を進めていく。
特にHEV/PEV化で大きな需要拡大が見込まれるパワーデバイスは、低耐圧から高耐圧まで幅広く製品を取りそろえる。2014年8月に合意に至ったInternational Rectifier(IR:インターナショナル・レクティファイアー)の買収に伴い、車載向けでも低中耐圧クラスのパワーデバイス製品群が強化される見込みだ(関連記事:IR買収で2位東芝を引き離すインフィニオン、「相乗効果で利益率も改善する」)。また、ドイツ・ドレスデン工場の300mmウエハーによるパワーデバイス製造ラインを使った車載用パワーデバイスの生産も、他社に先駆けて数年以内に始める計画であり、コスト競争力にも磨きをかける(関連記事:インフィニオン、300mmウエハーでのIGBT量産を2014年中に実施へ)。
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