メガチップスがMEMS発振器大手のSiTimeを買収:ビジネスニュース 事業買収
メガチップスは2014年10月、シリコン材料を使うMEMSタイミングデバイスを手掛けるSiTimeを買収すると発表した。2014年11月末までにSiTimeの全株式を取得し、完全子会社化する。買収額は2億米ドルで、全て現金で支払う。
メガチップスは2014年10月29日、シリコン材料を使うMEMSタイミングデバイスを手掛けるSiTimeを買収すると発表した。モバイル、ウェアラブルを含むIoT(モノのインターネット)分野に向け事業強化の一貫。2014年11月末までにSiTimeの全株式を取得し、完全子会社化する。買収額は2億米ドルで、全て現金で支払う。
SiTimeは2003年に設立した米国企業で、従業員数は約90人。メガチップスによると、既に大手カメラメーカーのデジタルカメラや電子書籍リーダー、ウェアラブル機器、通信ネットワークのインフラ装置などに採用され、MEMSタイミング市場で80%のシェアを獲得しているという。なお、2013年の売上高は約15万米ドル(約17億円)で、営業損益は1300万米ドルの赤字だった。
IoT分野での事業展開を加速
買収の狙いについてメガチップスは、「タイミングデバイスは、既存の水晶発振子を用いたものが主流となっている。だが、MEMS発振子を用いたものは既存品に比べ、サイズと消費電流が際立って小さい。また、SiTimeの独自技術で、これまで水晶に比べ劣るとされた温度変化に対する発振周波数の安定性が、水晶と同等もしくはより改善されたことにより、モバイル機器に最適なデバイスとなる。このMEMS発振子と独自の電子回路の組み合せにより、水晶発振子による既存品をしのぐ精度、安定性、サイズ、消費電力、耐衝撃性、コストを実現する。さらに、メガチップスグループが既に持つ技術、製品とのシナジーにより、メガチップスが目指すIoT分野での事業展開を加速していく考え」としている。
積極的なM&A展開
メガチップスは近年、積極的なM&Aを実施し事業基盤の強化を実施している。2013年4月に連結子会社だった川崎マイクロエレクトロニクスを吸収合併し、2014年2月には、STMicroelectronicsからDisplayPort関連製品事業を買収。さらに同年4月には、米国のアナログ、ミックスドシグナル回路IPベンダーであるVidatronicに出資し電源IC市場に参入した他、民生用半導体ベンダーの台湾Modiotek(京宏科技)に出資してグループ会社化している。
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