スパンションがMLC NANDメモリに参入――eMMCを製品化:メモリ/ストレージ技術 NANDメモリ
Spansion(スパンション)は、MLC(Multiple Level Cell) NAND型フラッシュメモリチップを採用したeMMC NAND型フラッシュメモリ製品「S4041-1B1」ファミリを発表した。第1弾として、メモリ容量が8Gバイト品と16Gバイト品を用意した。
Spansion(以下、スパンション)は2014年11月11日、MLC(Multiple Level Cell) NAND型フラッシュメモリチップを採用したembedded MultiMediaCard(eMMC)「S4041-1B1」ファミリを発表した。第1弾として、メモリ容量が8Gバイト品と16Gバイト品を用意した。産業/医療機器、ネットワーク機器、民生機器など組み込み機器用途に向ける。2015年には車載システム向け製品も投入していく予定だ。
S4041-1B1ファミリは、JEDECが定める「eMMC4.51」のコマンドセットをサポートしているが、健全性診断レポートや自動バックグランド処理など、「eMMC5.0」で選定された機能も一部含まれている。パッケージは外形寸法が13×11.5mmの153端子BGAと、18×14mmの100端子BGAを用意した。メモリ容量は64GビットのMLC NAND型チップを1個実装した8Gバイト品と、同チップを2個実装した16Gバイト品がある。また、動作温度範囲は−25〜85℃対応と、−40〜85℃対応の2タイプがあり、合計8製品を用意している。
スパンションはこれまで、NOR型フラッシュメモリの他、NANDメモリとしてはSLC(Single Level Cell)品を展開してきた。今回のS4041-1B1ファミリは、同社として初のMLC NANDメモリ採用製品で、MMCコントロール機能をパッケージに搭載したeMMCとして製品化するに至った。
スパンションでNAND製品マーケティング&事業開発担当ディレクタを務めるTouhidur Raza氏によれば、メモリ側にコントロール機能を持たせたeMMCとすることで、「NANDメモリ側の技術が進化した場合でも、メモリ側でその変化を吸収することができるため、(SLC NANDメモリチップなどでは必要だった)ホストプロセッサ側の設計変更などを行わなくても、機能的な互換性を保つことができる」という。しかも、パフォーマンスの管理やメモリブロックの管理などがメモリとして行えるため、システムレベルで品質を保証でき、信頼性の向上にもつながったという。コントロールICにはパートナーであるPhison Electronics製チップを採用した。
同社は、メモリ診断ツールキット「Memory Diagnostics Toolkit(MDT)」の提供も始めた。組み込みシステムの設計者に対して、eMMC製品のシステム検証作業を迅速に行えるよう支援していく。MDTにはデバイスの情報やパーティショニングするための機能、ファームウェアをアップグレードする機能などが含まれている。
なお同社では、eMMC製品群として、今後はメモリ容量が4Gバイト品、32Gバイト品および64Gバイト品などを用意していく。さらに、これまでNOR型フラッシュメモリ製品やSLC NANDメモリ製品で培った技術力や製品対応力の強みを生かして、eMMC製品においても車載システム市場を狙っていく計画だ。
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