無機ELの透明化に成功、シートの両面発光も可能に――セイコークロック:ディスプレイ技術 無機EL
セイコークロックは、分散型無機ELの透明化に成功した。この技術を用いて「透明分散型無機EL発光シート」と「マルチカラー分散型無機EL発光シート」を開発、2014年12月よりサンプル出荷を始める。
セイコークロックは2014年11月、分散型無機ELの透明化に成功したと発表した。この技術を用いて「透明分散型無機EL発光シート」と「マルチカラー分散型無機EL発光シート」を開発、2014年12月よりサンプル出荷を始める。腕時計などの文字板照明や液晶バックライト、スイッチシートやサインボードのバックライトといった用途に向ける。
無機ELシートは、一般的に発光層、誘電体層、電極層など複数の印刷層で構成されている。従来はこれら印刷層に不透明な材料が用いられてきた。新たに開発した透明分散型無機EL発光シートは、全ての印刷層に透明な材料を用いることで、透明な発光シートを実現することができた。シートの両面発光も可能としている。輝度は透過率が50%タイプで約50cd/m2(100Vrms、400Hz正弦波駆動時)、透過率が70%タイプは約30cd/m2(同)である。輝度半減期は約1000時間、シートの厚みは約0.15mm。
マルチカラー分散型無機EL発光シートは、透明ELと従来ELの2層構造にすることで、マルチカラーを実現した。発光色は青、赤および白の3色である。輝度は1色目が約60 cd/m2(100Vrms、400Hz正弦波駆動時)で、2色目および3色目は発光色によって異なるという。輝度半減期は約1000時間、シート厚は約0.3mmとなっている。
サンプル価格は発光部のサイズや購入する数量によって異なる。例えば、透明分散型無機EL発光シートは、A4サイズ品の単価が1万2000円。マルチカラー分散型無機EL発光シートは45×45mmサイズ品で、4枚購入した時の単価が3000円である。
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