走行距離1300km! V2Xの実証運転がelectronica会場から出発:electronica 2014
NXP Semiconductors、Cohda Wireless、SIEMENS、ホンダは2014年11月11日、安全性の検証を手掛けるTÜV SÜD(テュフズード)とともに、ドイツ、オーストリア、オランダをまたいでV2X機能などを備えた「コネクテッドカー」を走行させる大規模な実証運転をスタートさせた。
NXP、ホンダ、シーメンスなど
2014年11月11日、複数の企業と組織で構成されるグループがV2X(車車間・路車間通信)技術の大規模な実地試験を開始した。NXP Semiconductors、Cohda Wireless、SIEMENS、ホンダは、安全性の検証を手掛けるTUV SUD(テュフズード)とともに、ドイツ、オーストリア、オランダをまたいでV2Xを利用できる機能などを備えた「コネクテッドカー」を走行させる大規模な実証運転をスタートさせた。
コネクテッドカーの実証運転は、オーストリアのウィーンからオランダ・ロッテルダム間に高度道路交通システム(ITS)を備えた道路を建設する計画「C-ITS Corridor(Cooperative Intelligent Traffic Systems Corridor)」と提携して実施される。なお、C-ITS Corridorはオランダ、ドイツ、オーストリア政府による共同事業で、自動車と道路インフラの間でデータをやりとりするための装置を沿道に多数設置して、V2X技術を実験することを目指している。
実証運転は2014年11月11日にドイツ・ミュンヘンで開催されている電子部品などの展示会「electronica 2014」のNXPのブースから出発した。まず、ウィーンに向かい、そこからC-ITS Corridor計画で建設された道路を通ってドイツ・フランクフルトを経由しながら同年11月19日、ロッテルダムのゴールに到着する計画だ。走行距離は1300kmに及ぶ。
V2X技術の成熟度を示す目的
実証運転の目的は、V2X技術の成熟度を示すことである。V2X技術を用いると、自動車と自動車の間(V2V)や自動車と道路インフラの間(V2I)で自動通信が可能となり、この先に障害物があるといった道路状況や渋滞に関するメッセージをやりとりできるようになる。また、V2X技術を搭載した自動車は、インテリジェントな道路標識からの信号を受け取ることで、実際に信号機に到達する前に信号機の切り替えサイクルに順応することができる。これらの機能は全て、交通安全やエネルギーの効率化に役立つ。
今回は主に「交通状況の検知」と「道路工事の警告」という2つのV2X技術の実証を行う計画だという。交通状況の検知では、V2Vにより交通状況のデータを車両間で交換し、リアルタイム情報の処理が可能なナビゲーションシステムで利用する他、ナビゲーションシステムから交通情報センターに転送するシステムを試す。道路工事の警告では、道路工事を行っている付近にさし掛かったときに、交通情報センターから得た道路工事に関する情報をナビゲーションシステムに表示し、ドライバーに知らせるシステムを実証する。
いずれの実証も、IEEE 802.11p規格を通じて通信を行う。同規格は幅広く普及しているWi-Fi規格の拡張版で、動きの速い物体や携帯電話インフラを通じた使用に向けて改良されている。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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