リアルタイム制御とネットワーク処理を同時に実現、ルネサスのFA用マイコン:プロセッサ/マイコン RZ/T1グループ
ルネサス エレクトロニクスは、ハイエンドマイコン「RZファミリ」として、産業ネットワーク機能を内蔵した「RZ/T1グループ」10品種を新たに発表した。産業機器の高度なリアルタイム制御とネットワーク処理を1チップで実行することが可能となる。
ルネサス エレクトロニクスは2014年11月、ハイエンドマイコン「RZファミリ」として、産業ネットワーク機能を内蔵した「RZ/T1グループ」10品種を新たに発表した。2015年1月31日よりサンプル出荷を始める。産業機器の高度なリアルタイム制御とネットワーク処理を1チップで実行することが可能となる。
RZ/T1グループは、リアルタイム処理用途に最適設計されたARM Cortex-R4Fコアを搭載している。動作周波数は最大600MHzである。また、CPUコアに直結した密結合メモリを544kバイト搭載し、CPUコアから実質的にノーウェイトでアクセスすることを可能とした。さらに、ベクタ割り込み方式のコントローラ(VIC:Vectored Interrupt Controller)を搭載したことで、リアルタイム性の向上を図っている。
RZ/T1グループは、汎用のイーサネット通信機能を搭載した製品とは別に、産業用イーサネット通信用アクセラレータ「R-INエンジン」を搭載した製品も発売する。R-INエンジンには、リアルタイムOSアクセラレータ(HW-RTOS)とイーサネットアクセラレータが組み込まれている。リアルタイムOSの基本機能の一部をハードウェア化したことで、産業イーサネット通信に対して、高速リアルタイム性や高精度の通信制御が可能となる。産業イーサネットは、「EtherCAT」や「EtherNet/IP」、「PROFINET」など、主な通信規格に対応する予定だという。
タイマ機能や通信機能など、多くの周辺機能は、ルネサス製のSHマイコンやRXマイコンに搭載されている機能が継承されており、ルネサスユーザーは、これまでの技術資産を活用することができる。これとは別に新たに搭載する機能もある。「EnDat2.2」などのモータフィードバック用プロトコル、「BiSS」などのセンサーやアクチュエータ用プロトコルなど、複数のプロトコルをサポートするエンコーダインタフェースを搭載した製品も用意していく予定だという。
関連キーワード
リアルタイム | ルネサス(エレクトロニクス) | 通信 | マイコン | イーサネット | ネットワーク | プロトコル | RTOS | ARM | CPU | エンジン | リアルタイムOS | ルネサス エレクトロニクス | 通信規格 | Cortex | プロセッサ/マイコン(エレクトロニクス) | EtherCAT | EtherNet/IP | FA
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ルネサスが“ARM搭載マイコン”の第1弾製品「RZファミリ」を発売
ルネサス エレクトロニクスは、ARMのCortex-A9を搭載するハイエンドマイコン「RZファミリ」の第1弾製品群のサンプル出荷を開始した。同製品ファミリは、ルネサスとして初のARMコアを搭載したマイコンとなった。 - ルネサス、RXマイコン用の新CPUコア「RXv2」を発表
ルネサス エレクトロニクスは、32ビットマイコン「RXファミリ」向けのCPUコアとして、従来のCPUコア(RXv1)の上位互換版となる「RXv2」を発表した。従来CPUコアと比べて、同一動作周波数条件で約1.25倍の演算処理性能と、40%の低消費電力化を実現する見込みだ。 - 「苦しい中でもマイコンは稼ぎ頭」、ルネサスが新ファミリを投入
2012年8月に収益基盤強化策を発表したルネサス。苦境が続く中でも、やはりマイコンは同社で最も収益性が高い事業のようだ。40nmプロセスを採用した車載向けの「RH850ファミリ」に続き、応用分野として「スマート社会」を意識した400MHz動作の新ファミリなど、数製品を投入する。