モバイル向けGPUシェア、中国市場の成長で激変か:ビジネスニュース 企業動向
現在、中国のスマートフォン/タブレット市場の競争が激化していることから、今後モバイル機器向けGPUおよびグラフィックスコア市場にも、さまざまな変化が起こっていくとみられる。
ノートPCなどを含むモバイル機器市場は、経済情勢の低迷にもかかわらず、堅調な成長を維持している。モバイル機器は、今後必ずしもPCを置き換えることになるとは限らないが、今やPCを上回る売上高を達成している。
モバイル機器はいずれも、搭載するアプリケーションプロセッサの中にグラフィックスプロセッサ(GPU)を備える。GPU搭載SoCの世界市場規模は、2011年前半から81%拡大している。市場調査会社である米国のJon Peddie Research(JPR)の調査結果によると、Qualcommは、パーソナルモバイル機器市場全体において42%を超えるシェアを獲得しているという。
グラフィックスコアサプライヤとして圧倒的な強さを誇っているのは、Imagination Technologiesだ。ARMとVivanteも、非常に高い前年比成長率を達成している(ここでは、自社で設計を手掛ける垂直統合型メーカー4社については対象外とする)。
他にも、GPUコアを購入しているSoCサプライヤとしては、Allwinner TechnologyやFreescale Semiconductor、Huawei、MediaTek、Rockchip、Wonder Media(VIA Technologiesの子会社)などが挙げられる。これらのメーカーは、フィーチャーフォン市場にも参入していて、中には最近、スマートフォンやタブレット端末、携帯型ゲーム機などの分野に参入したメーカーもある。
中国市場の成長
中国のタブレット端末市場の爆発的な成長を受けて、携帯機器向けSoC市場が急激に拡大していることから、ARMやVivanteは現在、驚異的な成長を遂げている。中国のタブレット端末市場の急激な拡大により、今後12カ月の間に劇的な変化が起こると予測される。携帯機器向けSoC市場が大きく変化することで、市場シェアも劇的に変わるだろう。
現在、アプリケーションプロセッサの製造を手掛ける半導体メーカーは、約50社存在する。例えば、AppleやBroadcom、Intel、Marvell Technology Group、MediaTek、NVIDIA、ST-Ericsson、Texas Instruments(TI)、東芝、Qualcomm、Samsung Electronicsなどがある。このうち、AMDとIntel、NVIDIA、Qualcommの4社は、GPU/CPUの設計を自社で手掛ける垂直統合型メーカーである。これら4社以外のメーカーは全て、ARMとディジタルメディアプロフェッショナル(DMP)、Imagination Technologies、Vivanteの4社のいずれかからGPUコアを調達している。
ただし、SamsungとBroadcomの2社は例外だ。Samsungは自社でGPUを設計し、AMRとImaginationの2社からグラフィックスIPを購入している。またBroadcomも、自社でGPUを設計し、ARMからGPUを購入している。
AppleとTI、Qualcomm、Samsungの4社は、アプリケーションプロセッサを量産するリーダー企業である。Imagination Technologiesは、AppleとTI、SamsungにGPU IPを提供している。Samsungは、一部の携帯電話機でARMのGPUも使用する。Qualcommは、自社でGPUコアの設計を行っている。
IntelとNVIDIAは今後、SoCメーカーとして、優れたデザインウィンを実現して高い評価を得ると期待されているが、現在の業界最大手はQualcommだ。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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