ムーアの法則をできる限り進める――TSMCが7nmプロセス向けにEUV装置を発注:プロセス技術(2/2 ページ)
TSMCが、ASMLにEUV(極端紫外線)露光装置2台を発注していたことが明らかになった。TSMCは、EUVリソグラフィによって7nmプロセスの実現を目指すとみられている。2015年末には7nmプロセスを適用したチップのリスク生産が開始される可能性がある。
プロセス技術開発の推進
IntelとTSMCはこれまで、プロセス技術開発を推進するためにASMLに資金を投じてきた。
Intelは2012年7月、EUV技術の普及を加速すべく、最大41億米ドルをASMLに投じることに合意した。またTSMCは同年8月、最先端の製造ノウハウを確保しようと、ASMLに11億1000万ユーロ(約1640億円)を投資することで合意したと発表している。
Intelは最近、EUV技術の実用化の可能性について懸念を抱いていたが、ASMLはそれをある程度払拭することができたことになる。
van Hout氏は、「両社の主張については、十分な注意を払って解釈する必要がある。いずれも、『EUV技術を使わずに技術ソリューションを実現できる』と主張し、その実現の可能性を完璧に実証しているようにみえる。一方で、『複雑性の低減や歩留まりの向上、コストの低減などを可能な限り迅速に実現するには、EUV技術を使う必要がある』としているのだ」と述べる。
2018年までに7nmを実現?
van Hout氏によれば、TSMCは、今回購入したASMLのEUV露光装置を使って、2018年初頭には7nmプロセスでのチップ製造を始められる可能性があるという。
「TSMCの共同CEOであるMark Liu氏は、2015年末にはリスク生産を開始したいと話していた。同社は7nmプロセスについて公式には何も発表していないが、本格量産までは(リスク生産から)2年と少しかかるのが一般的だ」(van Hout氏)。
TSMCのLin氏は、イベントで「TSMCは、できるところまでムーアの法則を進めるつもりだ」と述べた。
TSMCは、最初の10nmプロセスの製品にはEUVリソグラフィを使用しない予定だが、ASMLと協業して、プロセス技術向けに装置の開発を進めている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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