中国とインド、携帯電話インフラ市場の成長を促進:業界動向(2/2 ページ)
2014年の携帯電話インフラ市場は、中国とインドがけん引した。インドは、市場規模はまだ大きくなく、2015年も爆発的に成長するわけではないものの、実は多くのキャリア(通信事業者)が投資をしている。
インドへの投資が進む
2014年初め、インド政府は1800MHz帯をオークションにかけ、2G/3G/4G向けに同周波数帯を開放した。これはネットワークの構築を促し、結果的にインドで従来導入されてきたバックホール技術であるマイクロ波分野の成長が加速することとなった。
インドのキャリアの一つで、既に15都市でTD-LTEを提供するBharti Airtelは、Ericsson製のFD-LTEシステムを導入するために、この新しい周波数帯を使う。Reliance Jio Infocommという別のキャリアは、2015年初めのサービス開始に備えてSamsung Electronics製のTD-LTE基地局を配備している。
Relianceは主にCeragon Networks製とDragonWave製のパケットマイクロ波伝送システムを用いている。インドへの出荷が増加した結果、2社の売上高シェアは大きく成長した。Alcatel-Lucentも2014年にインドでのマイクロ波システム事業で大きな成功を収めている。
Pongratz氏によると、基地局の新たな配備により、Ericssonのインドでの基地局事業は2014年第3四半期に47%上昇した。NokiaとVodafoneも、インドにおける基地局の販売台数が増えている。
全体的には、インドは世界の基地局市場のわずか3〜4%を占めるにとどまる。これに対し、中国は同市場の20%以上を占めている。
インドが2015年も携帯電話インフラ市場で急速な成長を維持することはないとみられるものの、インド政府はモバイルベースバンドの利用拡大目標を引き上げた。Pongratz氏は「インド政府は携帯電話サービスが全体の経済成長を刺激する鍵だと理解している」と述べている。
Bharti Airtelの3Gサービスを利用する加入者の数は、2014年に3%から7%に増加した。Vodafoneによると、同社のインドでのデータ通信量は2014年の最初の9カ月で2倍以上になったという。
いまだに2G基地局も
だが、インドでは、いまだに2G基地局が使われているケースも多い。また、加入者は年間所得の比較的高い割合をモバイルサービスに費やしている。具体的には、インドの平均年間所得1500米ドルに対し、モバイルサービスに支払う金額は毎月3米ドルだ。これに対し、米国の平均年間所得は5万米ドルで、モバイルサービスにかける費用は毎月50ドルである。
【翻訳:青山麻由子、編集:EE Times Japan】
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