IoTに関する意識調査、回答者の8割がプライバシーに懸念:ビジネスニュース 業界動向
NXPセミコンダクターズは、米国で約2000人の一般消費者を対象に、IoTに対する意識調査を行った。それによると、回答者の81%が、IoTではプライバシーに対する懸念があると答えたという。一方で「IoTが生活を便利にする」と考えている人は69%に上った。メリットは理解していても、プライバシーが守られるのかどうか、懸念を拭い去れない消費者が多いことが明らかになった。
NXPセミコンダクターズは2015年1月16日、世論調査会社ハリス(Harris Poll)が実施したモノのインターネット(IoT)に関するアンケート調査結果を発表した。同調査は、コネクテッド・カーやスマートホーム、ウェアラブル機器など、IoT対応機器向けに製品を提供するNXPが、ハリスに委託して行ったもの。2014年12月2〜4日に米国で、18歳以上の一般消費者2042人を対象にオンラインで実施された。
その結果、回答者の81%が、「IoT対応機器に投資(購入)するかどうかを決める際、プライバシーへの懸念が影響する」と回答したという。
一方で、こうした懸念があるにもかかわらず、69%の回答者が、「IoTは今後、生活をより便利にしてくれる」「既に便利にしてくれている」と考えていることも明らかになったという。
IoT技術のメリットについては、回答者の45%が「時間の節約が最も重要」と答えている。次いで、「金銭的な節約」(44%)、「物事の達成」(37%)、「ストレスの低減」(32%)、「エンターテインメント」(27%)、「社会的コミュニケーションの向上」(24%)、「教育の向上」(23%)となった。
IoT対応機器が生活をより便利にしてくれる/してくれている、と答えた回答者が、その具体例として挙げたのは、以下の通りだ。
- (店舗で)直接購入できないものをオンラインで購入可能(回答者の36%)
- 現在起こっている出来事の最新情報を常に入手可能(35%)
- 身近な人たちの安全を確認できる安心感(33%)
- 外出中に、自宅の安全確認が可能(30%)
- 体験をリアルタイムで他者と共有可能(23%)
コネクテッド・カーへの懸念
ただし、上記のようなメリットはあっても、多くの回答者がプライバシーへの懸念を示している。回答者の69%は、コネクテッド・カーを使用する際に、以下の項目についてプライバシーが守られるかどうかが心配だと考えている。
- 運転している場所(45%)
- 運転中に交わす会話(41%)
- 運転速度(33%)
- 交通違反の可能性(31%)
- 同乗者の身元(28%)
- 運転日時(23%)
スマートホーム/スマートワークスペース
また、回答者の82%が、スマートホーム/スマートワークスペースについても以下の項目についてプライバシーが侵害されないかを懸念している。
- 金銭的な情報の共有(60%)
- 個人的な生活活動に関する情報に他人がアクセスすること(例えば、就寝、起床、食事時刻)(54%)
- 自分がいつどこにいるか他人に分かること(47%)
- 他人との会話(43%)
- 一人でいるときの行動を他人に知られること(40%)
- 訪問者の身元が分かること(30%)
- リラックスしている時間を知られること(24%)
- その他:個人的信条(例えば、宗教、政治的信条)を知られること
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