クルマ/ウェアラブルに向けた高機能配線板に注目集まる:プリント配線板 EXPO リポート(2/3 ページ)
エレクトロニクス機器の高機能化や高性能化を支えてきたプリント配線板技術。高密度実装技術、放熱技術の進化なども含めて、プリント配線板の技術進歩は、カーエレクトロニクスやウェアラブル機器といった、新たな用途の回路設計においてその可能性を広げている。
屈曲性を改善した「CARFTセミフレックスバージョン」
日本シイエムケイ(CMK)は、車載向けや民生電子機器向けプリント配線板や各種モジュールを手掛けている。車載向けプリント配線板としては、高放熱/大電流に対応した製品や、高密度/高信頼を実現する製品、ミリ波レーダーなど高周波対応の製品などを用意しており、今回は「プリント配線板 EXPO」会場と、「国際カーエレクトロニクス技術展」の2会場に出展した。
この中で、注目製品の1つが車載対応のリジットフレックスプリント配線板「CARFT」シリーズとして新たに開発した「CARFTセミフレックスバージョン」である。リジット基板の一部をザグリ加工で薄くして、屈曲性を高めている。「フレキシブルな基板材料に近い曲げ特性を実現しつつ、部材コストを抑えることができるのが特長」(説明員)と語る。現在は開発段階だが、サンプル出荷は可能だという。
この他、CMKは最長1100mmに対応する長尺LED照明用放熱配線板も参考出展した。40形蛍光灯タイプのLED照明では、これまで2〜3個の細長いプリント配線板をジャンパ線で接続して用いるしかなかった。新たに開発した1mを超える長尺配線板を用いることで、実装時に生じる不具合を軽減できるメリットがある。しかも、採用している配線板は、放熱特性に優れ、アルミ基板に近い性能が得られるという。
微小な変位を検知して電圧を発生する「曲げ感知FPC」
車載用途以外でも注目製品が数多く見受けられた。その1つがフレキシブル配線板の技術をセンサーに応用した製品である。日本メクトロンは、曲げ感知FPCを参考展示した。FPCが変形すると、その変位を検知して微小の電圧を発生する。変形に対する感度は高いという。一例だが、約2000μmの変位に対して約0.06mVの電圧が発生した事例もある。電流はほとんど流れないという。
ブースでは、曲げ感知FPCを指で動かして、発生した電圧波形をモニター画面に表示したり、床面に設置した曲げ感知FPC上をボールが通過すると電圧が発生したりする状況などをデモ展示した。同社は、シートやマットに取り付けて人体を検知する着座センサーや、脈拍などの測定機能を備えたウェアラブル機器/ヘルスケア機器向けセンサー、シャフトの曲り検知センサーといった用途に提案していく予定だ。
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