シリコンの時代は「人類滅亡の日」まで続く(前編):福田昭のデバイス通信(1)(1/2 ページ)
私たちの日常に欠かせないものになっているシリコン半導体。シリコン半導体は、常に“文明の利器”の進化を支え続けてきたといっても過言ではないだろう。その地位は、今後も揺るがないはずだ。
繰り返し叫ばれてきた「シリコンの限界」
「シリコンの限界」が言われ続けて久しい。
人類社会と文明を支える重要な要素の1つがシリコン半導体であることは、いまさら言うまでもない。シリコン半導体は高度情報化社会のインフラであり、人類文明の発展に大きく寄与してきた。
シリコン半導体が誕生してから、既に60年近くが経過した。シリコン・トランジスタ(バイポーラトランジスタ)が開発されたのは1956年、シリコン集積回路(プレーナIC)が開発されたのは1959年のことだ。
シリコンの時代は、いつまで続くのだろうか。電子デバイスの研究開発コミュニティでは、「ポストシリコン」、すなわちシリコン以外の材料によるデバイスの開発が盛んである。
「ポストシリコン」に注目が集まるのは、シリコン半導体デバイスの進歩が限界に近いことの裏返しともいえる。ただし、これまでにもシリコンの限界は、何度も議論されてきた。筆者が半導体の研究開発コミュニティに参加させていただいたのは、約30年前の1985年のこと。当時既に、ポストシリコンの研究開発は非常に活発であった。しかしシリコン半導体デバイスが電子デバイスの主役から降りることはなく、主役の地位は現在に至るまで譲られていない。禅譲どころか、シリコンの地位は少しも揺らがなかったのは、ご承知の通りである。
シリコン半導体の地位はたぶん、今後も揺るがないだろう。21世紀はもちろんのこと、22世紀に入ってもシリコン半導体の時代は続く。極論すれば、「人類滅亡の日」までシリコン半導体の時代は継続していくだろう。シリコン半導体は既に、人類の文明そのものになっているといえる。SF小説やSF映画が描くような、何らかの理由によって人類の文明が崩壊するといった事態が発生すれば、話は別なのだが、そのような異常事態はとりあえずは外しておこう。
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