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シリコンの時代は「人類滅亡の日」まで続く(前編)福田昭のデバイス通信(1)(2/2 ページ)

私たちの日常に欠かせないものになっているシリコン半導体。シリコン半導体は、常に“文明の利器”の進化を支え続けてきたといっても過言ではないだろう。その地位は、今後も揺るがないはずだ。

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シリコンが最強であり続ける理由

 シリコン半導体の時代が続く理由は明解である。半導体産業は、30兆円を超える事業規模に育った。そのほとんどをシリコン半導体が占める。シリコン以外の半導体は、主に化合物半導体である。化合物半導体は発光ダイオードや半導体レーザー、それから一部のマイクロ波ミリ波素子で商品化されているものの、市場規模はシリコンにはるかに及ばない。

 半導体材料を選ぶ、という視点で見ても、シリコンの優位は圧倒的である。なぜだろうか。ほかの半導体材料に比べるとシリコンはきわめて安価であるからだ。それはシリコンが天然資源としては非常に豊富であることに由来する。さらに量産効果によってシリコンの材料コストは極めて低い水準に維持されている。

 半導体デバイスは高純度の材料を必要とする。天然資源は不純物だらけであり、そのままでは工業材料とはならない。半導体デバイスは基本的に単結晶を利用するので、高純度の単結晶を安価に製造することが求められる。半導体材料の単結晶を製造するコストでは、シリコンが圧倒的に低い。

 次にシリコン半導体デバイスは、集積密度がきわめて高い。最先端のシリコン半導体チップは、わずか1mm角に100Mバイトものデータを詰め込める。10mm角だと10Gバイトになる。化合物半導体デバイスでこのような密度を実現することは、原理的には可能かもしれないが、工業的には不可能である。

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128Gビットの大容量NANDフラッシュメモリ。韓国のSamsung Electronicsが開発したもの。平方ミリ当たりの記憶容量は0.96Gビット(約120Mバイト)。ISSCC2014の講演スライド(講演番号19.5)から引用した(クリックで拡大)

 それでは、「ポストシリコン」の研究開発は意味がないのだろうか。(後編に続く

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