IoT機器が料理を変える? スマート調理器具が続々登場:未来のキッチンはどうなっているのか(2/2 ページ)
ヘルスケア/フィットネス分野で普及が始まっているモノのインターネット(IoT)機器が、キッチン家電にも浸透し始めている。
身近になる? IoTクッキング
筆者は、ESC 2015でIoT関連の幅広いセッションを企画する業務に携わっている。このためReich氏から、ESC 2015で“モノのインターネット(IoT)を活用したクッキング”に関するセッションについて企画提案を受けた。
“IoTクッキング”のセッションには、数多くのパネリストが参加することになるだろう。
例えば、既に少なくとも3社のメーカーが、ネットワーク対応の真空低温調理器を販売している。Sansaireが199米ドルの調理器を、Nomikuが299米ドル/129米ドルの2製品を提供する。Nomikuの129米ドルの調理器は、2015年4月に出荷予定だが、「業界初」(同社)となる無線LAN対応を実現するという。またAnova Culinaryは、179米ドルのBluetooth対応モデルと、599米ドルのプロ用モデルを用意する。このプロ用モデルに関しては、最大3.6kgの食材を56.8リットルの水で調理することが可能だという。
フライパンを吹き飛ばしながら開発
もっとシンプルな調理器具としては、スマートフライパン「Pantelligent」がある。米マサチューセッツ工科大学(MIT)出身のHumberto Evans氏が開発したものだ。Pantelligentは、温度センサーを搭載し、さまざまなメニューをそろえた「iPhone」アプリを使用することによって、朝食用のベーコンから夕食用のホタテ貝に至るあらゆる食材の調理をモニタリングできるという。
Pantelligentは、クラウドファンディングサービスKickstarterで、464人の出資者から8万3000米ドルを超える資金を獲得した。Evans氏は、「当社は現在、出資者からのオーダーに対応すべく取り組みを進めている。今後さらに幅広い市場への対応を加速させていきたい考えだ。しかし、当社がこれまでに費やしてきた労力は、並大抵のものではなかった」と述べる。
「従来では考えられないような場所に電子部品を搭載しなければならなかったため、数々のハプニングが発生した。初期の試作版では、接着剤や養生したセメントなどを使用したために、フライパンが文字通り爆発したこともある。フライパンの底を何度か吹き飛ばしながら、ようやくセンサーを取り付ける手法を開発することができた」(同氏)。
PantelligentとPalate Homeはいずれも、2015年7月のESC 2015において、何らかの料理を作るデモを披露する予定だ。この他に参加予定の1〜2社については、今のところ未定である。
この他、「iPad」に接続する調理用スマートはかりを開発したThe Orange Chefや、リストバンドメーカーであるJawbone Upなどにも出展を呼びかけている。こうした製品は、健康的な食生活の推進/追跡をサポートするだけでなく、もっと簡単に料理ができるようにすることを目指すものだ。
PantelligentのEvans氏は、「1〜2年後には、台所での動きが変わるような製品が数多く登場するだろう」と述べている。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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