東芝とSKハイニックスがナノインプリントを共同開発、15nmプロセス以降に適用:ビジネスニュース 企業動向
東芝とSKハイニックスが、ナノインプリントリソグラフィ(NIL)技術で共同開発を開始する。NILは、回路パターンが掘られた型(モールド)をシリコンウエハーに直接押し当てて転写するもので、より微細な加工ができると期待されている。今回の共同開発では、15nmプロセス以降の実現を目指すとしている。
東芝は2015年2月5日、韓国SKハイニックスと、次世代半導体露光技術「ナノインプリントリソグラフィ(以下、NIL)」の共同開発を行うことで正式に契約したと発表した。同年4月から、東芝の横浜事業所においてNILプロセスの要素技術の共同開発を開始し、2017年の実用化を目指す。
NILは、メモリの微細化を進める上で必要になる、次世代半導体露光技術の候補の1つである。現在一般的に使用されているフォトリソグラフィは、回路パターンを描いたフォトマスクの上から光を照射し、ウエハー上に塗布した感光材のフォトレジストに転写する。これに対してNILは、回路パターンが掘られた型(モールド)をウエハー上のフォトレジストに直接押し当てて転写する。光を使うフォトリソグラフィと比べて、今後の微細化ではより有力な手法になると期待されているという。
東芝は、次世代半導体露光技術として、NILの他にも、液浸リソグラフィやEUV(極端紫外線)リソグラフィ技術の開発も手掛けているが、SKハイニックスとの共同開発は、NILのみが対象となる。
15nmプロセス以降を目指す
今回の共同開発では、15nm以降のプロセスの実現を目指す。東芝は、「現在、東芝がメモリに用いている最新プロセスは15nmなので、それ以降が目標になる。共同開発する技術は、3次元NAND型フラッシュメモリなどにも応用できると考えている」と述べている。
開発費などは明らかにしていないが、「東芝とSKハイニックスで折半になるので、開発コストの削減を図れる」としている。
東芝は2014年3月に、NANDフラッシュ技術を不正に取得/使用したとして、SKハイニックスに対し民事裁判を提起したが、両社は同年12月、和解に至っている。その際、東芝は、和解を機に新たな協業関係を築くべく、DRAMの供給契約やNIL技術の共同開発について合意したとも発表していた。
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