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インタビュー

クルマよりも規模の大きい“ルネサスの屋台骨・汎用事業”の戦略ルネサス 執行役員常務 横田善和氏(2/4 ページ)

ルネサス エレクトロニクスの売上高の約6割は、産業機器/家電/OA機器などの半導体を展開する汎用事業が担う。車載向け半導体事業を上回るビジネス規模を持つ汎用事業を統括する執行役員常務 横田善和氏に事業戦略などについてインタビューした。

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「ようやく“普通の会社”になった」

EETJ ご自身は、2013年11月まで、(2014年10月にシナプティクスに売却した)ルネサスエスピードライバ(RSP)の社長を務めてこられました。RSPから戻られた際、ルネサスの業績不振の理由はどの辺りにあると思われましたか。

横田氏 RSPでは、会社規模もあって自己完結できる会社/事業を目指してやっていた。一方で、(復帰した)当時のルネサスには、どこか大企業という意識があり、“利益を上げて生き残る”という意識が薄れていた。その点に長年の業績低迷の原因があったと思う。会長の作田(=作田 久男氏)が常々、言っているように、徹底的に収益にこだわり、生き残っていく姿勢へと変わってきており、ようやく“普通の会社”になったと思っている。

点を結び、線、そして面へ

EETJ 集中する事業の選択を終えられたということですが、集中する事業について教えてください。


USB PowerDelivery用デバイスのデモ。USB PowerDeliveryはUSBのコネクタ、ケーブルを通じて最大100Wの給電を実現する規格であり、従来の電源プラグのようなUSBコネクタ型のコンセントなどが登場し、あらゆる機器への給電を担うことが期待されており、ルネサスではUSB PowerDelivery関連デバイスを製品化し、供給していく方針

横田氏 1つは、産業/家電分野だ。家電といっても、エアコン/冷蔵庫といった白モノ家電であり、いわばモーターを回すところに特に集中していく。産業機器用マイコンでは世界シェア26%、産業機器用SoCでは世界シェア30%を持ち、制御用デバイスにおいては、欧米、日本で良いポジションを築いている。

 もう1つは、OA/ICT分野だ。プリンタなどOA分野は、市場成長こそあまり望めないが、日本のメーカーが強い領域であり、OA機器向けLSIのシェアは高い。そうしたシェアの高いLSIを核にしてHMI(ヒューマンマシンインタフェース)やUSB PowerDervery用デバイス、パワーデバイスなどの製品の展開を強めたいと考えている。

EETJ 扱う製品は、SoC/大規模LSIからマイコン、アナログ/パワーデバイスと多岐にわたるようですが、この中から新たな不採算事業が生まれる恐れはないのですか?

横田氏 事業の選択を行う上で重視したのは、点が線、線から面へという事業のつながりだ。(利益を生み出していた)RSPを売却したのも、そういった意味合いからだ。

 以前は、プロダクト軸の事業で、それぞれの事業が点になっていた。これをつなぎ、線や面になっていけば、効率良く、収益を確保できるようになる。そのため、2013年末から体制を、アプリケーション軸に改め、産業/家電、OA/ICTという注力分野に向けて(自社製品を組み合わせた)キット、(社内外の製品を組み合わせた)ソリューションの開発を進めてきた。

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