5Gサービス、サブギガヘルツ帯が鍵に:MWC 2015(1/2 ページ)
「Mobile World Congress(MWC)2015」では、5G通信についてパネルディスカッションが行われた。5Gで最も重要なのは、誰もがどこででも通信できる「ユビキタス性の実現」で、500MHz〜1000MHzのサブギガヘルツ帯をどう使うかが鍵になりそうだ。
「Mobile World Congress(MWC)2015」(2015年3月2〜5日、スペイン バルセロナ)において、通信事業者や規制機関の担当者たちがパネリストとして第5世代移動通信(5G)をめぐる議論に参加した。5Gサービスの実現に向けて、500MHz〜1000MHzの周波数帯、いわゆるサブギガヘルツ帯をどう使うべきかを決めるには、複数の業界の間での合意に基づき進めていく必要があるという。
ITU(国際電気通信連合)で無線通信局(BR)ディレクタを務めるFrançois Rancy氏は、「世界無線通信会議(WRC:World Radiocommunication Conference)で決定した内容が、次回の会議において不十分な状態のままにならないよう、安定した枠組みを確立したい。WRCでの決定事項に基づき、無線通信ネットワークやターミナル、アプリケーション、サービスなどの分野において、数兆ドル規模の投資が実現する可能性がある。今回の会議において、ブロードバンドモバイル向けに適用される周波数帯の量などが決まる予定だが、それは実際のところ、既存のサービスと並行して周波数帯を効率的に共有できるということを示せるように、モバイル分野の占める割合に応じて決定されるのではないだろうか」と述べている。
さまざまな業界の間で周波数帯を共有すべきだとするRancy氏の主張に応えるべく、携帯電話、衛星通信、放送、ネットワークといった業界から参加した専門家たちは、電波資源を最大限に活用するための手法をめぐり議論を展開した。
このディスカッションには、以下のメンバーが参加した。
- Rethink Technology Researchのリサーチディレクタを務めるCaroline Gabriel氏(司会)
- メキシコ政府の連邦通信協会(IFT:Federal Telecommunications Institute)でコミッショナを務めるFernando Borjon氏
- 全米放送事業者協会(NAB:National Association of Broadcasters)でプレジデント兼CEOを務めるGordon Smith氏
- 世界的な衛星プロバイダSESでプレジデント兼CEOを務めるKarim Sabbagh氏
- 通信サービスプロバイダVimpleComでグループチーフレギュラトリーオフィサー を務めるRomano Righetti氏
Caroline Gabriel氏(司会) 各業界における周波数の重要度は?
Fernando Borjon氏 電波資源は、最も重要な資産の1つだといえる。ブロードバンドやインターネットへのアクセスは、憲法上の権利である。つまり、ユーザーに対してアクセスを保証するためなら、われわれはどんなことでもやらなくてはいけないということだ。例えば、われわれは現在、旧アナログTV放送用の周波数帯である600MHz帯の再割り当てを行おうとしているところだ。
Gordon Smith氏 われわれは現在、なぜ未来の世界にブロードバンドとブロードキャストを両立させる必要があるのかという、政策上の理由に注目している。どの国にも、率直な価値判断が不可欠だ。最終的には、健全な放送帯域をサポートすることにより、他では対応できないような役割を担っていく必要がある。
Karim Sabbagh氏 モビリティとの協業により、膨大なチャンスが広がっていく。その中でも、現在目の前にある最大のチャンスは、一般家庭向けのサービスだ。モバイルインフラと地上インフラ、衛星インフラを1つにまとめることにより、“ハイブリッドインフラ”を実現したいと考えている。
Romano Righetti氏 “3つの魔法”を提言したい。1つ目は、国際的なレベルで周波数帯の調和性を高めるということ。これにより、ネットワーク接続機器のコストを削減することが可能になる。2つ目は、利用可能な周波数帯やその価格に関する予測可能性を実現すること。そして3つ目は、持続可能性の実現だ。免許不要帯域の利用を大幅に拡大することにより、さまざまなプレーヤ間の市場のひずみを解消できるようになる。
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