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京都議定書を「トイレ」と“あれ”で説明しよう世界を「数字」で回してみよう(13) 環境問題(2/9 ページ)

今回は、いよいよ環境問題シリーズの最難関である「京都議定書」を、比喩を使って解説したいと思います。おそらく、こんな比喩を用いて京都議定書を説明した例は、かつてなかったのではないでしょうか。なお、お食事中の方は、本稿を読むのをお控えください。

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CO2排出量は、どうやって計算しているのか

 さて、今回、私は京都議定書の全文を読んだのですが、その中でどうしても分からないことが1つありました。

 ――どうやって、CO2などの排出削減量を測定しているのだろう?

 当初、私は、日本全国に設置された無人気象観測施設「アメダス」のようなもので測定しているのかと思っていたのですが、よく考えてみればそんなことは不可能です。日本の隣国には、世界最大のCO2排出国である中国がありますが、中国と日本、どっちが排出したCO2なのかなど、判別できるわけがありません。

 ……と、酷く悩んだ割には、答えは、簡単なものでした(参考資料)。

 国が、法律に基づいて事業者に申告させていたのです。具体的には、地球温暖化対策の推進に関する法律(温対法)に基づき、政令で定める「特定排出者(約1万2000)」に、次の式の値を提出させたのです(温対法 第21条の2)。

活動量×排出係数=温室効果ガス排出量

 火力発電所を考えると、活動量というのは、石油などの化石燃料の総量であり、排出係数というのは、その化石燃料1トンから生成されるCO2の重さになります。

 例えば、東京電力の排出係数は以下の通りです。

photo
参考資料を基に作成

 実際のCO2は発電所が石油などを燃やして作っているのですが、その中で、江端家が家の中で作ったとされるCO2の重さは、

  • 345KWh(2014年4月の江端家の電力使用料)×0.000530(東京電力のCO2排出係数)=182kg(CO2の重さ)

となるわけです。

 一方、石油ストーブ、ガスコンロなどは、家の中で直接燃料を燃やすことで、CO2を作っています。例えば、江端家が1カ月に100m3のガスを使用した場合は、以下の値を使って、

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  • 100m3(2014年4月の江端家のガス使用料)×2.23(都市ガスの排出係数)=223kg(CO2の重さ)(同別表1)

となります。

 では、ゴミ処理場が排出するCO2などはどうするのかというと、これもゴミの量に、ゴミ処理場の排出係数を乗算することで算出します。

photo

 1人当たり1日1.1kgほどのゴミを出しているそうですので、4人家族なら1カ月で130kg。排出係数を2.5とすれば、325kgのCO2を排出していることになります。

 そして、これらを、一つ一つチマチマと集計して、日本のCO2の温暖化ガスの排出減量をまとめるのです。

 2012年に終了した京都議定書(第一約束期間[2008〜2012年])の結果が、2015年2月に出てきた理由は、このチマチマ集計を全世界規模で実施しなければならなかったためです。2年以上もの時間が必要となったのは当然といえましょう。

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