価格競争力と柔軟性を武器に、Cypressが指紋認証デバイス分野に参入:ビジネスニュース 企業動向(1/2 ページ)
Cypress Semiconductor(サイプレス)は、指紋認証用デバイス市場に参入する。指紋パターンの認識/照合技術を持つ企業と協業を行い、指紋リーダーICをこのほど開発し、2015年4〜6月から量産出荷を行う方針だ。
Cypress Semiconductor(以下、サイプレス)は、指紋認証用デバイス市場に参入する。静電容量式タッチセンサー/タッチパッド用コントローラICなどで培ったアナログ信号処理技術と、ノルウェーのIDEX ASA(以下、IDEX)の指紋パターンの認識/照合技術を組み合わせたソリューションとして提供する。既に第1弾製品となる指紋リーダーICを一部顧客向けにサンプル出荷し、2015年4〜6月から量産を開始する予定だ。
拡大するモバイル機器での指紋認証需要
指紋認証機能は、一部ノートPCの他、2013年秋に発売されたAppleの「iPhone 5s」などを皮切りにスマートフォンやタブレット端末にも搭載が拡大。今後は、ハイエンド機に限らず、低価格帯のスマートフォン/タブレット端末への搭載が見込まれるなど、モバイル機器には、当たり前の機能の1つになろうとしている。サイプレスはそうした指紋認証機能の需要拡大を受けて、指紋認証用デバイス市場への参入を決定した。
タッチコントローラのノウハウを応用
サイプレスの参入に至った理由はもう1つある。
サイプレスは「TrueTouch」という製品ブランドでタッチパッドやタッチパネル向けコントローラICを展開し、世界有数のシェアを獲得している。配線パターンから容量変化を読み取るという点で、指紋認証用デバイスと、タッチパッド/タッチパネル用デバイスは同じであり、「タッチパッド/タッチパネル分野で培った、耐ノイズ性に優れたセンシング回路を応用することで、指紋認証用デバイスでも独自性を発揮できる」(同社)とする。
指紋認証では、指紋の読み取りとともに、読み取った指紋とあらかじめ登録された指紋との照合(パターンマッチング)に関する技術ノウハウが必要となるが、サイプレスではパターンマッチング用アルゴリズムに強いノルウェーのIDEXと協業。同社のアルゴリズム「SmartFingsテクノロジ」のライセンスを受けて、指紋を読み取るリーダーデバイスから、照合用ソフトウェアまで総合的に提供できる体制を整えた。
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