価格競争力と柔軟性を武器に、Cypressが指紋認証デバイス分野に参入:ビジネスニュース 企業動向(2/2 ページ)
Cypress Semiconductor(サイプレス)は、指紋認証用デバイス市場に参入する。指紋パターンの認識/照合技術を持つ企業と協業を行い、指紋リーダーICをこのほど開発し、2015年4〜6月から量産出荷を行う方針だ。
第1弾リーダーICを製品化
既に一部顧客向けにサンプル出荷を始めた第1弾となる指紋リーダーICは、指を直接当てるセンサー(電極アレイ)と分離できるサブストレート型センサータイプに対応するICだ。
現状、スマートフォンなどに採用される指紋認証センサーは、電極アレイとリーダーICが一体化されたシリコンセンサータイプが主流。指をスライドさせることなく、指を置くだけで指紋認証するエリア型センサーであればICのダイ面積は大きくなりコストアップを招いている。
一方、サイプレスが採用するサブストレート型を採用する。サブストレート型は、電極アレイのサイズを問わず、リーダーICのダイを最小化でき、コストを抑えることができる。ただ、サブストレート型は、電極アレイとリーダーIC間の配線長が長くなるため、ノイズの影響を受けやすくなるが、「タッチパネルコントローラで培ったさまざまな耐ノイズ技術により実現した」(サイプレス)。
さらにサイプレスは、独自のプログラマブルSoC技術をベースにリーダーICを開発。センサーからの信号処理を行うアナログフロントエンド部をソフトウェアで再構成できるデバイスとした。そのため、「さまざまな形状、サイズの電極アレイに対応できる。こうしたフレキシビリティは他社製品にみられないサイプレス独自の特長だ」(同社)。
FIDO認定を取得済み
リーダーICと、パターンマッチング処理を行うホスト間の通信インタフェースとしてSPIを搭載。さらにAES暗号化エンジンを内蔵し、SPIで送信されるデータは暗号化される。指紋のマッチング誤りは、10万回に1回という高い精度を誇り、指紋認証関連の標準仕様を策定している業界団体「Fast IDentity Online(FIDO)アライアンス」の認定も取得している。
サイプレスでは、「現状は、エリアセンサーのみのサポートだが、将来的には、同じリーダーICで、(指を滑らせて認証する)スワイプセンサーにも対応する方針。IC一体型センサーよりも価格競争力があり、柔軟性も備えており、サイプレスとしての特色ある製品となった。まずは、スマートフォンやタブレット端末を中心に展開し、将来的にはウェアラブル機器分野などへもビジネスを広げたい」としている。
関連キーワード
サイプレス セミコンダクタ | バイオメトリクス認証 | 指紋認証 | 参入 | スマートフォン | 企業動向(エレクトロニクス) | ビジネスニュース(EE Times Japan)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- CypressとSpansionの合併会社、1600人を解雇へ
2015年3月12日(米国時間)に経営統合の完了を発表したCypress SemiconductorとSpansionが、1600人の人員削減を行うと報じられた。 - Cypress、Spansionの経営統合が完了
Cypress SemiconductorとSpansionは2015年3月12日(米国時間)、両社の経営統合が完了したと発表した。 - NECがスマホで“モノの指紋”を見分ける技術を開発
NECは、工業製品や部品の固体を識別できる「物体指紋認証技術」を開発した。スマートフォンなどに内蔵されたカメラで個体を撮影し、事前に登録した紋様の画像データと照合することで、製品個体の識別を高速、高精度に行える。 - スマホの画面を見るだけでロック解除、虹彩認証システム
富士通は、スマートフォンの画面を見るだけでロックを解除できる虹彩認証システムを開発し、同技術を搭載したスマートフォンを試作した。赤外線LEDから赤外線を目に照射し、さらに赤外線カメラで撮影することで虹彩パターンを取得する。この虹彩認証システムは、2015年度中の製品化を目指す。 - NECの顔認証技術がNISTのベンチマークテストで首位――2014年度中に製品展開へ
NECは同社の顔認証技術が米国国立標準技術研究所(NIST)のベンチマークテスト「Face Recognition Vender Test」で1位を獲得したと発表した。2014年度中に1位を獲得した技術を製品へと応用し、セーフティ事業の展開を加速させていくという。