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MicrosemiがVitesse買収――懸念される「MIPS対ARM」の構図ビジネスニュース M&A(1/2 ページ)

Microsemiが、Vitesse Semiconductorを買収する。Vitesseの産業用イーサネット技術を生かして、競合他社では入っていけないニッチな分野を狙うと見られている。ただし、プロセッサのアーキテクチャは、MicrosemiがARMを、VitesseがMIPSを採用していて、両社では近いうちに“MIPS対ARM”の構図になるのではないかと予想される。

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 Microsemiは2015年3月18日(米国時間)、Vitesse Semiconductorを3億8900万米ドルで買収すると発表した。半導体メーカーで相次ぐM&Aは、いまだ治まる気配がない。

 MicrosemiはVitesseの株式1株につき5.28米ドルを現金で支払うが、これはVitesseが2015年3月3日に発表した決算よりも36%割り増された額である。買収の条件では、Vitesseは2015年4月8日までにGo-Shop条項として知られている上方の逆指値を求めると報じられている。

 Microsemiの発表によると、今回の買収の焦点は通信用半導体で、合併後の会社を「通信事業者、企業、商業用のモノのインターネット(IoT)市場」に向ける計画であるという。

両社では“MIPS対ARM”の構図に?

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 両社は、「補完関係がある」と強調しているが、買収後の近い将来、“MIPS対ARM”の構図が生まれることを示唆しているのではないだろうか。Vitesseの製品群はImagination TechnologiesのMIPSコア、Microsemiの製品ラインはARMコア「Cortex-M」シリーズをそれぞれベースにしているからだ。合併会社が別々のプロセッサコアをどのように扱うのかは明らかにされていない。

 Microsemiは軍用および商用の衛星や航空機、無線・有線LANシステム、油田装置、空港安全システム向けのチップのサプライヤとして知られている。同社のCEOであるJames Peterson氏は、今回の買収を後押ししたのはMicrosemiの「通信用半導体企業としての成長に向けた継続的なコミットメント」であったと説明した。

 一方のVitesseは、世界中のキャリアや企業に向けたネットワーキング・アプリケーション用チップの設計、開発、販売を手掛けている。同社は特に、基地局/スモールセル、光ファイバ、マイクロ波の無線バックホール製品などのモバイルアクセス装置を含む、通信事業者向けのイーサネットスイッチのエンジンを提供している。

 VitesseのCEOであるChris Gardner氏は、発表の中で、「Microsemiなら、Vitesseのイーサネット技術を活用して通信市場にさらに踏み込めると確信している」と述べている。

「理にかなった買収」なのか

 今回の買収では、Vitesseの全事業が売却されるわけではない。GartnerのリサーチディレクタであるSteve Ohr氏は、「Vitesseは2014年12月、特に基幹回線向けのハイエンド・イーサネットに注力する計画だとアナリストらに語った。Gartnerの評価では、基幹回線通信向けのハイエンド・イーサネット事業は好調ではない。Vitesseが同事業からどのように収益を挙げるつもりなのかは謎である」と述べた。

 では、MicrosemiはVitesseを窮地から救えるのか?

 Ohr氏は「Microsemiにはボトムフィッシング(底値で買うこと)の傾向がある。敗者のように見える会社を買収しているのだが、不思議なことに、長期的な結果を見ると理にかなっていることが多い。同社はPower over Ethernet(PoE)に投資したので、おそらく社内にはVitesseの製品はPoE分野に役立つと考える向きがあるのだろう」との見解を示している。

 反対に、IHS Globalでマイコン/DSP分野の主席アナリストを務めるTom Hackenberg氏は、「戦略的に理にかなった買収だ」と分析する。同氏は、「Microsemiは、Vitesseのイーサネット技術で、競合他社では容易に入り込めない、ニッチな分野を狙うつもりだろう」と続けた。

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