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Amazon、“理想のドローン配達”の実現はまだ遠い?FAAが実験的耐空証明を発行するも……(2/2 ページ)

Amazonは、小型の無人航空機(ドローン)を使った配達サービスの実現に向け、着実に前進しているようだ。米連邦航空局(FAA)が、Amazonに実験的耐空証明を発行したのである。だが、ドローンの飛行や商業利用に関してはまだ制限事項が多く、Amazonが描く“理想のドローン配達サービス”の実現には遠いというのが実情だ。

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ドローン配達が実現可能かは、まだ分からず

 FAAは、ドローンの規則制定案に関する告示について、意見調査期間が終了した後で、最終規則を策定する予定だ。Amazonが将来的に何を実現できて何を実現できないのかは、その最終規則の内容に左右されることになる。

 FAAの提案指針は、米国内におけるドローンの商業利用について定める。業界全体が、これまで長い間待ち望んできた規則だ。小型ドローンの商用利用を推進する「Small UAV Coalition」は、3D RoboticsやAmazon Prime Air、Google X、Parrotなどのドローンメーカーを代表する、ロビー団体である。Small UAV CoalitionのWebサイトによると、「商業利用を許可する最終規則が策定されるまでには、今後約16カ月間を要するとみられる」という。

 Small UAV Coalitionは当面の間、FAAに対し、Section 333の適用除外に関する手続きの緩和を求めていくという。同団体は公式文書の中で、「FAAは48件の適用除外を認めているが、その一方で650件以上がまだ申請待ちの状態だ」と訴えている。現在のところ、米国内において商業目的のドローンを合法的に操縦するためには、この適用除外を受ける以外に方法はない。

 またSmall UAV Coalitionは、FAAとの積極的な協業により、FAA規則案における問題点を明確化しようと取り組んでいる。

提案指針に欠けているもの

 FAAの提案指針には、ドローンを使って、注文から30分以内に荷物を配達するという「Amazon Prime Air」の夢を実現する上で必要な、5つの重要な要素が欠けている。

 1つ目は、FAAの提案指針では、ドローンの操縦に直接携わっていない人々の上空を飛行することが認められていないという点だ。このため、Amazonのドローンは、小さな町の上空を飛行するだけで、何度も法律に違反することになる。

 2つ目は、Small UAV Coalitionが指摘するように、「FAAの提案指針は、メーカー各社が自社施設付近の私有地で試験を実施することを許可するかどうかを定めていない」という点だ。Amazonにとって、実際の現場で厳密な試験を実施するための許可を得られない限り、荷物を配達するドローンをどのように実現するのかを検証することは難しいだろう。

 3つ目は、飛行時間の制限に関する問題だ。提案指針では、飛行可能時間が日の出から日没までの時間帯のみに制限されている。このため、注文から30分以内にドローンで配達することが難しくなる。

 さらに、ドローンの将来性を大きく制約することになるのが、4つ目と5つ目となる、ドローンの最大飛行高度と、オペレータの目視範囲外の飛行エリアに関する制限事項だ。

 現行の提案指針では、ドローンの飛行高度は地上500フィート(約152m)までで、オペレータの視線が届く範囲内に制限されている。このため、例えばニューヨークのブルックリンからマンハッタンどころか、シリコンバレーのサニーベールからサンタクララまででさえも、ドローンで荷物を配達することは不可能ということになる。

 Amazonをはじめとする企業各社を代表するSmall UAV Coalitionは、目視範囲外の安全性を確保するための技術を実現したと主張する。「ドローンが目視範囲外を飛行できるようにならない限り、他の国々が既に実現しているように、技術を最大限に高めることができない」主張する。

【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】

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