MEMSシェアランキング――iPhoneに採用されるボッシュが首位:ビジネスニュース 業界動向(1/2 ページ)
スマートフォンやタブレット端末の成長に伴い、MEMSセンサー市場が堅調に伸びている。2014年の売上高ランキングの1位はRobert Bosch(ロバート・ボッシュ)。「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」でデザインウィンを獲得したことが決め手になったようだ。
市場調査会社のIHSは2015年3月25日(米国時間)、Yole Développementは同24日(フランス時間)に、MEMS製品のリポートをそれぞれ発表した。いずれも、疑う余地のない市場トップ企業としてRobert Bosch(ロバート・ボッシュ)を挙げた。
Yole Développementによると、Boschの2014年のMEMS関連の売上高は前年比20%増の12億米ドルだった。Yoleは、同社とSTMicroelectronicsの間の差が広がっていると指摘し、Boschを“MEMSの巨人”と称した。2社の収益の格差は今や4億米ドル以上に達する。
決め手はApple
今日のMEMS市場で勝者と敗者を分ける決め手となっているのがAppleだ。IHSは「Appleは2014年のMEMSメーカーのトップ20社ランキングに影響を及ぼしている」という見解を示している。BoschはAppleの「iPhone 5s」と「iPad」に搭載する加速度センサーでデザインウィンを得たことで、2013年にMEMS市場でトップクラスの地位を獲得できた。
IHSによれば、Boschは「iPhone 6」と「iPhone 6 Plus」に搭載されている圧力センサーの唯一のサプライヤであることから、2014年には再びAppleがBoschのMEMS関連の収益を押し上げる形となった。
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iPhone以外に、Boschを“巨人”の地位へと押し上げたのは、その歴史である。
Yole DéveloppementのMEMSデバイスおよび技術部門で技術・市場シニアアナリストを務めるEric Mounier氏は、EE Timesに対し、「Boschはまず、車載向けMEMS事業を、パッケージングのような、低コストかつ技術が確立されている事業に統合した。その後、MEMS技術に磨きをかけ、コンシューマ市場に移行した。車載とコンシューマの両方を経験したことで、Boschは製造施設のインフラを最適化したのである」と説明している。
それぞれのランキングにはわずかな違いがあるものの、IHSとYole Développementはどちらも、Bosch、Texas Instruments、ST、HP(Hewlett-Packard)、KnowlesをMEMSベンダーのトップ5社としている。Yole Développementのプレジデント兼CEOであるJean-Christophe Eloy氏によると、Boschの収益は現在、トップ5社の収益合計(38億米ドル)の1/3を占めているという。
今回のランキングでは、Avago TechnologiesとQorvoが台頭している。この2社は、特にスマートフォン向けRF MEMSフィルタで成長している。
とりわけ、2.3GHz〜2.7GHzのLTE対応のBAW(Bulk Acoustic Wave)フィルタが、AvagoとTriQuint(現Qorvo)の成長要因となっている。IHSによれば、BAWフィルタは、これらの帯域においてSAW(Surface Acoustic Wave)フィルタよりもよい特性を持つので、Wi-FiとLTEが共存する上での課題を解決するという。IHSは、「BAWフィルタ市場は、LTEの登場によって回復傾向にある」と分析する。
InvenSenseの2014年の売上高は、前年比32%増となる3億2900万米ドルに達した。IHSはInvenSenseの急成長の要因として、iPhone 6/iPhone 6 Plus向けのモーションセンサーでデザインウィンを獲得したことを挙げている。さらに同社は、手ブレ補正機能としてカメラモジュールに組み込まれている角速度センサーでも成功している。
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