Appleはどこへ?――ここ1年で買収した10社から検証:まさに“買いあさり”状態(2/4 ページ)
Appleは積極的に買収戦略を展開している。2014年5月、CEOのTim Cook氏は、その時点までの18カ月間で24社を買収したことを明らかにした。今回は、Appleが2014年と2015年に行った買収案件の中から10件を紹介し、それぞれの狙いについて考察してみる。
【1】FoundationDB――データベース管理
Appleが最も最近買収したのは、米国バージニア州に拠点を置くFoundationDBだ。業務用ソフトウェアを扱う新興企業である同社は、2015年3月にAppleによって買収された。FoundationDBは、NoSQL技術を専門に扱っていた。NoSQLは、Webアプリケーションに普及している他、低コストサーバのおかげで安価であるという特長がある。FoundationDBは、プログラムがデータに素早くアクセスできるようにする技術の開発に取り組んできた。
こうした技術は、「iTunes」「App Store」「iBooks」といった多すぎるほどのサービスツールを抱えるAppleにとって、非常に有益になる。これらのサービスでは、データストレージへ素早くアクセスすることが必要になるからだ。この買収によってAppleは、一流のソフトウェアエンジニアはもちろん、クラウドサービスを拡張する基盤も手にした。
なお、この買収について、金額は明らかにされていない。
【2】Acunu――データ解析技術
FoundationDBを買収する少し前、Appleは英国のAcunuを買収している。これは、Bloomburgが報じている。Acunuは、NoSQLデータベース「Apache Cassandra」上のアナリティクス技術を手掛ける新興企業である。FoundationDBとAcunuの買収は、Appleがデータインフラに焦点を絞っていることを明確に示している。
過去を振り返ると、Acunuの従業員が少しずつAppleに移っており、これは買収取引が進行中だったことを示していたのだろう。AcunuのCTO(最高技術責任者)であるTim Moreton氏は、2013年12月にAppleの「iCloud」事業のマネジャーに就任している。
【3】Semetric――音楽配信サービス
Appleは2015年1月、音楽解析プラットフォーム「Musicmetric」の後ろの頭脳である英国の新興企業Semetricを買収した。MusicmetricはFacebookやBitTorrentなど多数のオンラインソースを解析してデータを分析することで、インターネット全体でのアーティストの人気を包括的な見解で示す。ユーザーはジャンルやコンサート会場などのカテゴリで情報を分けることができ、その瞬間の音楽トレンドが分かる。
The New York Timesは2015年1月、Semetricが、Appleと関係の深い、ロンドンのある場所に住所を変更したと報じた。
Semetricの買収から、Appleが音楽サービスの向上を図ろうとしていることが読み取れる。
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