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IGZOを超える「有機半導体」、分子設計からトランジスタまで日本発の新技術移動度10cm2/Vsを実現(2/5 ページ)

シリコンでは実現できない新しい機能性有機材料を東京工業大学の半那純一教授、飯野裕明准教授のグループが開発した。大きく3つの成果があるという。低分子系有機トランジスタ材料で耐熱性と成膜性を実現したこと、多結晶膜で高い移動度を得たこと、2分子層構造を利用して高移動度が実現できたことだ。

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トランジスタの性能を確認

 開発した有機半導体材料について触れる前に、試作したボトムゲート・ボトムコンタクト型電界効果トランジスタの性能を示す(図2)。

 試作品では性能を測定するため、シリコン基板上にゲート電極、ゲート絶縁膜を置き、ソース電極とドレイン電極は金を利用した。スピンコート法を用いて薄膜を形成、120℃で5分の加熱を施した(図3)。


図2 試作したトランジスタの外観、右は比較のために置いた1円玉

図3 試作したトランジスタの構造 出典:東京工業大学

 「有機半導体は電極の金属の仕事関数との関係で、p型にもn型にもなる。今回は金電極を利用したため、p型として働く」(半那氏)。試作したトランジスタはゲート長、チャネル幅とも100μmだ。

 トランジスタの特性を以下に示す。図4左はゲート電圧に応じた静特性だ。遮断領域、線形領域、飽和領域が見えている。図4右はゲート電圧とドレイン電流の関係を示す。


図4 トランジスタの特性(1) 出典:東京工業大学、Nature Communications

 図5左はゲート電圧とドレイン電流の関係だ。20回の繰り返し後に特性が変化していないことを示す。図5右はヒステリシスがないことを示す。


図5 トランジスタの特性(2) 出典:東京工業大学、Nature Communications

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