日本の総エネルギー消費量はどれくらい? E=MC^2から計算してみる:世界を「数字」で回してみよう(14) 環境問題(4/7 ページ)
環境問題の最終回では、まず、日本の1日当たりの総エネルギー消費量を計算し直しました。その結果、“広島型原爆600発分”ということが分かったのです。その他、「日本に必要な電力を全て原発で発電したら、どれくらいCO2が削減できるのか」、「少子化問題を放置した場合、エネルギー消費量はどれくらいになるのか」について、いつものように、電卓とエクセルを使って検証します。
2064年には、原発0と同じCO2排出量に?
(Step.3)
では最後に、上記(Step.1)(Step.2)の相関結果とモデルを使って、少子化対策に有効な手を打たないでほったらかし(合計特殊出生率を1.4で維持し)たままでという条件下で、CO2排出量を予想します。
人口予測については、今回も私の自作シミュレータを使います。政府の少子化対策の内容は、今回は入れずに計算します(ちなみに、考慮したシミュレーション計算結果はこちら)。
計算結果は以下の通りです。
エネルギー消費量が減少していくので、当然CO2の排出量も減少します。
この計算で、少子化問題を放置し続ければ、2064年に、全ての発電所を原発にした場合と同じCO2削減(42%)が、何もしなくても実現される見通しです。
では、今回の話をまとめます。
(1)私たちは、日本国において、毎日、広島型原子爆弾600発分相当のエネルギーを消費して生きている
(2)日本の発電所を、今、全て原子力発電所に置き換えると、42%(1990年比)のCO2排出量の削減が可能となる
(3)日本の発電所を、全て原子力発電所に置き換えなくても、2064年になれば、上記(2)と同様のCO2排出量の削減が実現される(ただし、少子化対策を行わず、現在の合計特殊出生率1.4を維持した場合)
私は、「日本の発電所を、原子力発電所に置き換えるべきである」とか、「少子化対策を行わない方がよい」などということを主張したいわけではありません。
ただ、私は、日本の少子化について、これまでもいろいろな方向から計算をし、対応策を模索し続けた結果、この問題が、回避が不可能で、かつ、わが国に深刻なダメージを与えることを知りました(参考記事) ―― というか、正直、疲れました。
もう少子化が、どうやったって避けられないのであれば、
―― 少子化問題を逆手にとって、原発、エネルギー、温暖化の問題をソフトランディングさせるような検討や提案が、どうして(政府や学会等から)出てこないのかなぁ ――
と、不思議に思っているのです。
では、次回からは、ちょっとノリが軽いけれども、凄く重いテーマでもあり、多くの人が強い感心を持っている「ダイエット」に取り組んでみたいと思います。
ちまたにあふれるダイエット本の内容は本当に信じてよいのか、また、エンジニアリングで「ダイエット」は可能であるか ―― 私と私の家族の、体を張ったダイエットの記録と共に ―― 数字を回してみたいと思っております。
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