6月に京都で開催されるVLSIシンポジウム 〜その成り立ちと概要:VLSIシンポジウム 2015 プレビュー(1)(3/3 ページ)
毎年6月、半導体のデバイス技術/回路技術の国際会議「VLSIシンポジウム」が開催される。この連載では、同シンポジウムのプレビューとして、その歴史や講演内容を紹介していこう。
研究機関別の発表数トップ級はimec、IBM、東京大学、Intelなど
研究開発機関別の採択論文数ランキングでは、ベルギーの研究開発組織imec(アイメック)が9件でトップを獲得した。imecは欧州はもちろんのこと、米国や日本などの企業とも共同研究プロジェクトを数多く推進している。近年、研究論文の発表数を急速に増やしている組織だ。
imecの次は、6件でIBMが2位に付けた。IBMはVLSIシンポジウムの発足当初から研究開発コミュニティでは重要な位置を占めており、半導体の事業はともかく、半導体の研究開発では最も長期にわたって健在ぶりを見せつけている企業だと言える。
3位は東京大学とIntelで、いずれも4件である。東京大学は最近、発表件数が増えている。Intelは数こそ目立って多くないものの、継続して優れた開発成果を披露してきた。
基調講演では将来の民生機器をGoogleが展望
VLSI Technology初日の6月15日(月曜日)は、「ショートコース(Short Cource)」と呼ぶ1日コースのセミナー(技術講演とは別料金)に充てられている。今回のテーマは「More-than-Moore and More Moore of IoT」である。研究開発を主導している現役の講師による10本のレクチャーが予定されている。
技術講演は、6月16日(火曜日)〜18日(木曜日)の3日間である。技術講演初日のオープニング(プレナリセッション)では、2件の基調講演が予定されている。1件は産業技術総合研究所の比留川博久氏によるロボット技術に関する講演、もう1件はGoogle社のEric Shiu氏とSimon Prakash氏による将来の民生用機器における要求仕様に関する講演である。
(次回に続く)
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