Apple WatchのBOMは販売価格の1/4、多大な利益を得られる可能性も:製品解剖
IHSが「Apple Watch」のBOMコストを見積もったところ、Appleの従来製品に比べて、販売価格に対するハードウェアコストの割合が低いことが分かった。販売台数が伸びれば、Appleは多大な利益を得られると、IHSは分析する。
米国の市場調査会社であるIHSと、同社のTeardown Mobile Handsets Intelligence Serviceが発表した事前予測によれば、Appleのスマートウオッチ「Apple Watch」は、他のどのApple製品よりも、販売価格に対するハードウェアコストの割合が低いという。今回の分解調査の結果、Apple Watchの実際のハードウェアコストは、メーカー希望小売価格(MSRP)の1/4にも満たないということが明らかになった。
IHSが見積もったところ、Apple Watch以外のApple製品では、メーカー希望小売価格に対するハードウェアコストの割合が、29〜38%だったという。
ケースサイズが38mmの「Apple Watch Sport」の販売価格は349米ドルだが、分解調査の結果、そのBOMコストは81.20米ドルであることが分かった。製造コストとして2.50米ドルが加算されたとしても、83.70米ドルだ。ただし、IHS Technologyの調査結果には、物流コストや設備投資/償却費、諸経費、販売費/一般管理費(SG&A)、研究開発費、ソフトウェア、IPライセンス料、EMSベンダーなどのサプライチェーン全体における変動費などが含まれていない。
IHS Technologyでマテリアルズ/コストベンチマーキングサービス部門シニア主席アナリストを務めるKevin Keller氏は、「第1世代製品の販売価格は通常、ハードウェアコストに対して高く設定される場合が多い。販売価格は一般的に、時間の経過とともに低下する傾向にある。しかし、Apple Watchのメーカー希望小売価格に対するハードウェアコストの割合は、「iPhone 6 Plus」をはじめとするAppleの他の新製品と比べてはるかに低い。Apple Watchに寄せられた高い関心に釣り合うだけの販売台数を実現できれば、Appleは多大な収益を得られるだろう」と述べる。
事前に行われた分解調査では、搭載されているICに特に驚くような点はなく、供給メーカーの顔ぶれもこれまでと変わらないようだ。Apple Watchのメモリとしては、東芝の8GB NAND型フラッシュメモリ、Micron Technologyの512MB SDRAMが、それぞれ採用されている。また、コネクティビティ/インタフェースには、BroadcomやSTMicroelectronics、Maxim、Analog Devices、NXP Semiconductorsなどの製品が使われている。注目すべきは、加速度センサー/ジャイロスコープ(角速度センサー)の供給ベンダーが、(iPhoneなどではサプライヤだった)InvenSenseからSTMicroelectronicsに変わったという点だ。
【翻訳:田中留美、編集:EE Times Japan】
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