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人類は、“ダイエットに失敗する”ようにできている世界を「数字」で回してみよう(15) ダイエット(1/9 ページ)

今回から新シリーズとしてダイエットを取り上げます。ダイエット――。飽食の時代にあって、それは永遠の課題といっても過言ではないテーマになっています。さて、このダイエットにまつわる「数字」を読み解いていくと、実に面白い傾向と、ある1つの仮説が見えてきます。

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 「脂肪肝が出ているから、もっと体重を減らさなければダメだ!このままじゃ、大きな病気につながるんだぞ!分かっているの!?」

 何年か前に、人間ドックでの最後に、問診医の先生から激しい口調で叱責されたことがあります。しかし、そのセリフは私の体内で減衰し続けて、ついに私の心には届きませんでした。

 (先生。先生のおっしゃること、セリフとしては理解できるのです。でも、先生。先生の腹の肉、椅子の手すりからはみ出しています。)

 私は、そんな先生のアドバイスを、どこまで私は真剣に聞けばいいのかが、本当に分からなかったのです。

 言うなれば――

  • 『お前たち! たばこなんか吸っていいのか!』と、職員室で、くわえたばこで説教する教師
  • 『先生。うちの娘、どんなに言っても、パーマをかけてくるのですよ』と担任の教師に生活指導を懇願する、派手な服とケバい化粧の母親
  • 『それが仁義ってもんだろうが』という台詞を吐く、社会的弱者を食いものにして生計を立てているヤクザ

 このような人たちの言葉が、誰かの心に届くわけがありません。人間が人間に対して「痩せろ」と無理難題を言い張るからには、それ相応の主体的適格というものがあると思うのですよ。

 調べてみたのですが、本当に「無理難題」なのです。

 人類は(というか、生物は)「ダイエット」という行為に対して、それを受け入れる生態メカニズムはなく、さらに人類の進化の歴史において、「自らの意思で体重を減らす」などという発想は、一度足りとも存在しなかったのです(次回以降に詳説致します)。

 本連載において検証する仮説を申し上げます。

 「私たち人類は、ダイエットに失敗しなければならない

 です。


 こんにちは。江端智一です。

 今回から、新シリーズ、「ダイエットで数字を回してみよう」を始めたいと思います。

 「ダイエット(diet)」という言葉には、(1)食物、(2)食習慣、(3)食餌療法、(4)議会、国会という意味もあるようです。ただし、日本で「ダイエット」というと、もっぱら「減量」「痩せる」の意味で使われています。本連載においても、そのような意味で用いることにします。

 ちなみに、ちょっと調べてみたところ、英語のWebサイトにおいても、7割以上が同じように使っているようです。

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